この素晴らしい世界に祝福を!―めぐみんと過ごすifの日々―
この素晴らしい世界に祝福を!―めぐみんと過ごすifの日々―
アクセルに住む高校生、佐藤和真は、ダスティネスの屋敷で爆裂魔法を愛する少女・めぐみんと出会う。彼女は「紅魔族の天才魔導士」と名乗り、「私の爆裂魔法は一日一回しか使えないけど、その一撃は最強よ!」と誇らしげに宣言する。
和真はアクア、ダクネス、そしてめぐみんと同居することになり、彼女たちの混沌とした日常に巻き込まれていく。めぐみんは和真にまとわりつき、毎日のように爆裂魔法を見せびらかそうとする。「見て見て!すごいでしょ!」「特別に私の魔法を見せてあげる!」
ある日、魔王軍の将軍であるデュラハン・ベルディアがアクセルを襲撃する。和真たちは共に戦うが、ベルディアの強さに圧倒される。そこでめぐみんはとんでもない提案をする。「爆裂魔法を放つわ。でも条件があるの。和真、私のことが好きだと言ったら、やってあげる」
和真は戸惑いながらも、めぐみんの爆裂魔法を目撃する。彼らはベルディアを撃退することに成功する。しかし、魔法は予想以上に強力で、町の一部を吹き飛ばしてしまう。和真は彼女を叱るが、めぐみんは涙ながらに呟く。「私はただ……認めて
この素晴らしい世界に祝福を!―めぐみんと過ごすifの日々― - 爆裂と外れスキルの共鳴 ~どん底からの大逆転、そして恋の大乱戦~
灰色の光が、アクセルの空を覆っていた。
石像と化した人々が、広場のあちこちに立っている。笑ったままの顔。逃げようと手を伸ばした姿勢。祈るように膝をついた老婆。すべてが、灰色の石に閉じ込められていた。
佐藤和真は、その中央で一人、立っていた。
息が荒い。黒髪は汗で額に張りつき、深い茶色の瞳は疲れでくすんでいる。それでも、足は地面を踏みしめていた。左手の甲で、魔法陣のような痣が、淡く脈打つように光っている。
「……来いよ、シルビア」
銀色の髪を風に揺らし、シルビアが微笑んだ。金色の瞳が、獲物を愛でるように細められる。男とも女ともつかない美貌。黒と銀の貴族服。その指先に、灰色の魔力が渦を巻いていた。
「あらあら。一人で私に立ち向かうつもり? 無謀ね。でも、そういう愚かしさは、嫌いじゃないわ」
「うるせえ。お前のコレクションになるくらいなら、石になった方がマシだ」
「ふふ、強がりもそろそろ限界でしょう? あなたの仲間は、あなたのせいで動けない。あなたのスキルが、あの子の魔法を壊した。誰も助けに来ないわ」
和真は、唇を噛んだ。
(分かってる。俺のせいだ。俺の魔力干渉が、めぐみんの爆裂魔法を暴発させた)
(だから、俺が一人でやるしかない)
「……それでも、俺はお前を止める」
シルビアが、ゆっくりと手を掲げた。灰色の光が、広場の石畳を這うように広がっていく。
「残念ね。では、あなたも石になって、私のコレクションに加わりなさい」
光が、和真に迫る。
——その時だった。
「待ちなさい!!」
声が、広場に響いた。
和真が振り返る。
紅い髪をなびかせ、紅い瞳を燃やし、めぐみんが駆けてくる。左目の眼帯が外れかけ、小さな体は息を切らせて上下している。それでも、足は止まらない。
「めぐみん……! 来るな! お前の魔力が、また——」
「だったらあんたが制御しなさいよ!!」
和真の言葉を、めぐみんの叫びが遮った。
彼女は和真のすぐ隣まで来ると、肩で息をしながら、まっすぐに和真を見上げた。その紅い瞳に、涙が溜まっている。
「私の爆裂魔法は、あなたのためだけに撃つって、決めたの。あなたが逃げても、私が追いかける。あなたが戦うなら、私も戦う。それが、私の契約よ」
「……契約って、お前」
「紅魔族の天才魔導士、めぐみん。下僕のピンチに駆けつけるのは、当然のことよ。だから、一人で死のうなんて、百年早いのよ」
めぐみんが、和真の袖を、ぎゅっと掴んだ。
小さな指が、震えている。怖くないはずがない。それでも、彼女は離さなかった。
和真の胸の奥で、何かが、ゆっくりとほどけていく。
(俺は、一人じゃない)
(こいつは、俺を信じて、ここまで来た)
「……分かったよ。でも、どうするんだ。お前の魔力は、俺のせいで不安定になってる。下手に撃てば、また暴発するぞ」
「そこでよ! あんたのスキルを使うのよ!」
「は?」
めぐみんが、和真の左手を、両手で包み込んだ。魔法陣の痣が、彼女の手のひらに触れて、ほんの少し温かくなる。
「私の爆裂魔法の膨大な魔力を、あなたのスキルで制御してほしいの。あんたの魔力干渉は、私の魔力を乱す力。でも、向きを変えれば、乱す代わりに、整える力になるはずよ」
「整える……? そんなこと、できるのか」
「できるわ。あんたが、私を信じてくれるなら。私が、あんたを信じているように」
和真は、めぐみんの瞳を見た。
真紅の瞳が、まっすぐに和真を映している。そこには、疑いも、恐れも、迷いもなかった。
(信じる、か)
(俺は、自分のスキルが怖かった。仲間を壊す力だと思ってた)
(でも、こいつは、その力を信じろって言ってる)
和真は、静かに頷いた。
「……やってみる。俺のスキルで、お前の魔力を支える」
「ええ! それでこそ、私の下僕よ!」
シルビアが、二人のやりとりを、金色の瞳でじっと見つめていた。
「仲良しごっこは終わったかしら? 無駄よ。あなたのスキルは外れ。私が証明してあげるわ」
灰色の光が、再び膨れ上がる。
めぐみんが、和真の前に立った。
「和真、私の詠唱に合わせて、スキルを展開して。私の魔力を、あなたの目で見て、整えて」
「ああ、任せろ」
和真は、ステータス閲覧スキルを、めぐみんに向けて発動した。
視界に、彼女のステータスが浮かび上がる。
『めぐみん Lv.32 紅魔族 魔力:膨大』
そして、その下に、今まで見えなかったものが見えた。
『魔力流:乱れ大』
(乱れてる。俺の魔力干渉のせいだ)
和真は、左手の痣に意識を集中させた。
(整えろ。彼女の魔力の流れを、俺が、正しく導く)
痣が、強く光った。
「——行くわよ、和真!」
めぐみんが、詠唱を始めた。
「我が名はめぐみん。紅魔族随一の魔法の使い手。汝、紅き炎の精霊よ。我が呼びかけに応え、その力を、この手に宿せ——」
詠唱が、空気を震わせる。
周囲の魔力が、めぐみんの体に集まっていく。普通の魔法使いなら、触れるだけで吹き飛ばされるような、膨大な魔力の奔流。
和真は、ステータス画面を見つめながら、その流れを追った。
(すげえ。これが、爆裂魔法の魔力)
(暴れてる。制御不能だ。でも——)
和真は、左手を、めぐみんの背中に当てた。
「——そこだ。流れを、俺に合わせろ!」
魔力干渉スキルが、めぐみんの魔力に触れた。
乱れていた流れが、和真の導きに従って、ゆっくりと整っていく。暴れ馬に手綱をつけるように。荒れた川に堤を作るように。
めぐみんの詠唱が、安定した。
「——爆裂魔法(エクスプロージョン)!!」
閃光。
轟音。
シルビアの石化魔法結界が、正面から砕け散った。
灰色の光が、ガラスのように割れて、消えていく。爆裂魔法の衝撃波が、広場を駆け抜け、石像と化していた街の人々を包み込んだ。
——石が、剥がれ落ちる。
笑ったまま固まっていた男が、咳き込んだ。逃げる姿勢のまま固まっていた女が、地面に倒れた。祈る老婆が、ゆっくりと顔を上げた。
「何が起きたんだ!?」
「俺、生きてる……?」
「おい、あれを見ろ! 爆発が、石を割ったんだ!」
人々が、ざわめき始める。
シルビアが、数歩後退した。
「まさか……外れスキルで、私の魔法を……!」
その顔から、余裕の笑みが消えていた。
「ざまあみろ。外れスキルを舐めんなよ」
和真は、めぐみんを支えながら、シルビアを睨みつけた。
めぐみんは、魔力を使い果たして、和真の腕の中でぐったりとしている。それでも、口元には、勝ち誇った笑みが浮かんでいた。
「……見た? 私の爆裂魔法、最強でしょ」
「ああ、見たよ。すげえ威力だった」
和真は、めぐみんの頭を、そっと撫でた。
——だが、シルビアは、まだ倒れていなかった。
「……ふふ。あははは。面白いわ。本当に、面白い。あなたのスキルは、私の想像を超えている。だからこそ、絶対に手に入れたい」
シルビアが、笑いながら、両手を広げた。
「最終手段よ。来なさい——ベルディア卿!」
足元に、巨大な魔方陣が展開される。
漆黒の光が、地面から噴き上がった。
その光の中から、現れたのは——
首なし騎士だった。
漆黒の鎧。兜の奥に、不気味に光る赤い眼光。身の丈は百九十五センチを超える。手には、巨大な両手剣。首がないのに、呼吸するように、鎧が上下に動いている。
「我が名はベルディア。魔王軍八魔将が一人。かつて千の騎士を屠りし者である」
声が、兜の奥から響く。
広場の空気が、一瞬で凍りついた。
「な、なんだあれ……首が、ないぞ……!」
「八魔将だって!? 本物の!?」
「逃げろ! 殺される!」
人々が、悲鳴を上げて逃げ惑う。
ベルディアが、一歩、踏み出した。
それだけで、石畳が砕けた。
「ぬしらが八魔将に挑むとは、片腹痛いわ。その首、我がコレクションに加えてやろう」
和真は、めぐみんを背中に庇いながら、後退した。
(まずい。めぐみんは魔力切れで動けない。俺に、戦う力はない)
「シルビア、てめえ、卑怯だぞ! 八魔将呼ぶとか、反則だろ!」
「あら、私は交渉と駆け引きが専門ですもの。戦闘は、専門家に任せるわ。それに、あなたのスキルを見極めるには、ちょうどいい相手でしょう?」
ベルディアが、両手剣を振り上げた。
——その時。
「和真、私を盾にしろ!!」
金髪を振り乱し、ダクネスが突っ込んできた。白い鎧を着た、貴族の女騎士。その顔は、なぜか恍惚としている。
「ダクネス!? お前、どこから——」
「私の体は、攻撃を受けるためにある! さあ、私を盾にして、思う存分戦え! ああ、八魔将の攻撃……想像しただけで、背筋がゾクゾクする……!」
「お前の変態性は、今はいいから! 危ない、下がれ!」
ベルディアの剣が、振り下ろされた。
ダクネスが、和真の前に飛び出す。
——ガキィン!!
剣と剣がぶつかる。だが、ダクネスの剣は、あっさりと弾き飛ばされた。
「えっ——」
ベルディアの剣が、ダクネスの腹を直撃した。
「ぐああああっ!?」
ダクネスの体が、吹き飛ぶ。石畳を跳ね、広場の端まで転がっていく。
「ダクネス!!」
「ああ……強い……! 八魔将、素晴らしい……! でも、もっと……もっと私を……!」
ダクネスは、ボロボロになりながらも、笑っていた。
(あいつ、本当に変態だな……でも、無事みたいでよかった)
和真は、ベルディアに向き直った。
(物理攻撃が、効いてない。ダクネスの剣を弾いただけじゃない。あの鎧、傷一つついてない)
(どうする。どうすれば——)
和真は、とっさに、ステータス閲覧スキルを、ベルディアに発動した。
視界に、ステータスが浮かび上がる。
『デュラハン・ベルディア Lv.78 アンデッド 物理耐性:完全』
そして、その下に——
『首:ヴァルグリム荒野の第三坑道、最深部』
和真は、目を見開いた。
(首の在り処が、表示されてる!)
(こいつの弱点は、本体じゃない。別の場所にある首だ!)
「めぐみん! あいつの首は、別の場所にある! ヴァルグリム荒野の第三坑道って場所だ! 本体を吹き飛ばせば、動きを止められるはずだ!」
「……本当に? あんたのスキルで、そんなことまで分かるの?」
「ああ。俺のスキルは、ステータス閲覧。こいつの弱点も、全部見えてる」
めぐみんが、ゆっくりと立ち上がった。
「……分かったわ。もう一発、撃つ。でも、私の魔力は、もう限界よ」
「大丈夫だ。俺が、お前の魔力を、限界を超えて引き出す。俺のスキルで、お前の魔力を、最後の一滴まで使えるようにする」
和真は、めぐみんの手を握った。
左手の痣が、激しく光る。
「——信じてるわよ、和真」
「ああ、任せろ」
めぐみんが、再び詠唱を始めた。
「我が名はめぐみん。紅魔族随一の魔法の使い手。汝、紅き炎の精霊よ。我が命に応え、その力を、限界の彼方へ——」
和真は、ステータス画面を見つめながら、めぐみんの魔力を、引き上げた。
(もっとだ。もっと、彼女の力を、解放しろ)
(俺のスキルで、彼女の限界を、超えさせろ!)
痣が、燃えるように熱い。
めぐみんの紅い瞳が、さらに強く輝いた。
「——爆裂魔法(エクスプロージョン)!!!」
閃光が、ベルディアを飲み込んだ。
轟音。衝撃波。地面が揺れる。
ベルディアの漆黒の鎧が、爆発の中心で、粉々に砕け散った。
「ぐあぁぁぁぁ!! 貴様、我が首を——!?」
胴体が、吹き飛ぶ。
首の在り処を失った体は、力なく崩れ落ち、黒い霧となって消えていった。
「……覚えておけ。我は、首のある限り、何度でも蘇る。次に会う時は、貴様の首を、必ず——」
その声を残して、ベルディアは消えた。
シルビアが、唇を噛んだ。
「……ベルディア卿まで退けられるとは。あなたのスキルは、まだ真の力を秘めている。次に会う時は、覚悟しなさい。必ず、私のコレクションにしてあげるわ」
そう言い残し、シルビアは、銀色の光に包まれて、姿を消した。
——静寂が、広場を包んだ。
「や、やった……! 勝ったのよ、和真!」
めぐみんが、和真に抱きついた。
「お、おい、くっつくなって……! てか、お前、また動けなくなるんじゃ——」
「えへへ……今は、和真の魔力干渉のおかげで、ちょっとだけ動けるの。すごいでしょ、私の爆裂魔法と、あんたの外れスキルのコンビネーションは!」
和真は、めぐみんの頭を、ぽんぽんと叩いた。
「……ああ、すげえよ。お前の魔法は、本当に最強だ」
「……! そ、そんなこと、今さら言われても、嬉しくなんかないんだから!」
めぐみんが、顔を真っ赤にして、和真の胸に顔を埋めた。
——その時。
「和真さーん!! ご無事ですかー!?」
青い髪を揺らし、ウィズが駆けてきた。アクセルで雑貨屋を営む、心優しい女性。その顔は、涙でくしゃくしゃになっている。
「ウィズさん……! どうしてここに」
「街が大変なことになってるって聞いて……! よかった、本当にご無事で……!」
「めぐみん! 和真くん! 二人とも無事!?」
紅魔族の少女、ゆんゆんも、ウィズの後ろから駆けつけてきた。
「ゆんゆんまで……お前ら、どうやってここが分かったんだよ」
「爆発音が、街中に響いてたから……! それで、絶対にここだって」
「和真ーー!! 無事でよかったわーー!!」
水色の髪を振り乱し、アクアが、和真に抱きついてきた。
「うわっ!? アクア、お前もかよ! 離れろ、息ができな——」
「私の和真が、死んじゃったらどうしようって、心配で心配で……! 女神の加護を授けてあげるわ! はい、聖水! びしゃー!」
アクアが、手に持った聖水を、和真の頭からぶちまけた。
「おい! やめろ! ただの水じゃねえか! 冷たいんだよ!」
「和真、私も来たぞ! さあ、私の体を、好きなだけ盾にするといい! ああ、さっきの八魔将の一撃……思い出すだけで、また……!」
ダクネスが、ボロボロの鎧のまま、和真に迫ってくる。
「お前はもう盾にしただろ! てか、その傷でよく動けるな!」
「この程度の傷、私にとってはご褒美よ! さあ、もっと私を……!」
「あんたたち、和真に近づかないで!!」
めぐみんが、和真の前に立ちはだかった。
「この下僕は、私が責任を持って守るわ。だから、あんたたちは手を出さないで!」
「はあ? 和真は私のものよ! 私が最初に和真と出会ったんだから!」
「いや、私の騎士道が、和真を守るべきだ。私の体こそ、和真の盾となるべきなのだ」
「み、みなさん、まずは怪我の手当てを……! 和真さんも、お疲れでしょうし……」
「め、めぐみん、落ち着いて……! みんなも、喧嘩はダメだよ……!」
広場は、女たちの怒号と悲鳴で、再び混沌に包まれた。
「……なんでこうなるんだよ。たくっ、せっかく勝ったのに、全然休めねえ」
和真は、ため息をついた。
だが、その口元には、ほんの少しだけ、笑みが浮かんでいた。
(まあ、でも)
(みんな、無事でよかった)
——その時。
めぐみんが、和真の袖を、ぎゅっと掴んだ。
「和真。他の女の子と話すの、禁止よ。特に、アクアとダクネス。あと、ウィズさんも、ゆんゆんも、ぜーんぶ禁止」
「お前、それ本気で言ってるのか……?」
「本気よ。あなたは、私の下僕なんだから。私の、専属の、下僕なの」
めぐみんの紅い瞳が、まっすぐに和真を見つめる。
その瞳に、和真の胸が、ドキリと鳴った。
(こいつ、こんな顔、するのかよ)
(……やばい。ちょっと、かわいい)
「……あ、あんたが、私の下僕なのは、変わらないんだからね! 勘違いしないでよ!」
「めぐみん、それって告白?」
「ち、違うわよ!! そんなんじゃないわよ!!」
めぐみんが、顔を真っ赤にして、ぶんぶんと首を振った。
それでも、和真の袖を掴む手は、離さなかった。
和真は、めぐみんの小さな手を見つめた。
(俺のスキルが、こいつを苦しめてる)
(それなのに、こいつは、俺のそばにいてくれる)
(……俺は、どうすればいいんだ)
——夜。
ハーティアの館に戻った和真は、自室のベッドに座り込んでいた。
街の人々は、石化から解放された後、何事もなかったかのように日常に戻っていった。ギルドのルナからは、街の救世主だと感謝されたが、和真の心は晴れなかった。
(今日は、勝った。俺のスキルが、めぐみんの魔法を安定させた)
(でも、それって、たまたまだ)
(俺の魔力干渉は、まだ完全に制御できてるわけじゃない)
和真は、ステータス画面を開いた。
『ステータス閲覧 Lv.1 対象の能力値を可視化する』
『追加効果: 魔力干渉(微弱++)』
そして、その下に、また、あの文字が浮かんでいた。
『スキル進化条件:仲間の信頼』
(仲間の信頼)
(今日、めぐみんは、俺を信じてくれた)
(俺も、めぐみんを信じた)
(でも、それで、スキルは進化したのか? まだ、分からない)
和真は、左手の痣を見つめた。
魔法陣のような痣は、朝よりも、少しだけ、広がっている気がした。
「……俺のスキルは、まだ、完成してない。制御も、不完全だ」
(このままじゃ、また、めぐみんの魔法を壊すかもしれない)
(今度こそ、取り返しがつかないことになる前に)
(俺は、この力を、ちゃんと制御できるようにならなきゃいけない)
和真は、拳を握り締めた。
「……やるしかない。俺の外れスキルで、めぐみんの爆裂魔法を、完璧に制御する。それが、俺にできる、唯一のことだ」
窓の外では、月が、静かにアクセルの街を照らしていた。
石像から戻った人々の笑い声が、遠くから聞こえる。
街は、救われた。
でも、和真とめぐみんの間には、まだ、見えない壁があった。
和真のスキルが、彼女を苦しめる限り、この壁は消えない。
(めぐみん)
(俺は、お前の魔法を、絶対に守る)
(お前が、俺のことを信じてくれるなら)
(俺も、お前を信じる)
和真は、静かに目を閉じた。
左手の痣が、月明かりに照らされて、淡く光っていた。Noveliaとは?
Noveliaは、AIでライトノベルや二次創作を「読んで・数タップで作って・キャラクターと会話できる」プラットフォームです。挿絵つきの新作が毎日届き、無料で始められます。