この素晴らしい世界に祝福を!―めぐみんと過ごすifの日々―
この素晴らしい世界に祝福を!―めぐみんと過ごすifの日々―
アクセルに住む高校生、佐藤和真は、ダスティネスの屋敷で爆裂魔法を愛する少女・めぐみんと出会う。彼女は「紅魔族の天才魔導士」と名乗り、「私の爆裂魔法は一日一回しか使えないけど、その一撃は最強よ!」と誇らしげに宣言する。
和真はアクア、ダクネス、そしてめぐみんと同居することになり、彼女たちの混沌とした日常に巻き込まれていく。めぐみんは和真にまとわりつき、毎日のように爆裂魔法を見せびらかそうとする。「見て見て!すごいでしょ!」「特別に私の魔法を見せてあげる!」
ある日、魔王軍の将軍であるデュラハン・ベルディアがアクセルを襲撃する。和真たちは共に戦うが、ベルディアの強さに圧倒される。そこでめぐみんはとんでもない提案をする。「爆裂魔法を放つわ。でも条件があるの。和真、私のことが好きだと言ったら、やってあげる」
和真は戸惑いながらも、めぐみんの爆裂魔法を目撃する。彼らはベルディアを撃退することに成功する。しかし、魔法は予想以上に強力で、町の一部を吹き飛ばしてしまう。和真は彼女を叱るが、めぐみんは涙ながらに呟く。「私はただ……認めて
この素晴らしい世界に祝福を!―めぐみんと過ごすifの日々― - 爆裂魔法と外れスキル、そして本気の恋の始まり
朝日が、ハーティアの館の屋上を照らしていた。
昨日の戦いの痕が、まだ街のあちこちに残っている。壊れた石畳、焦げた壁。それでも、朝の光はすべてを等しく包んでいた。
佐藤和真は、屋上の手すりに寄りかかって、眼下に広がるアクセルの街を見下ろしていた。黒髪は寝癖で跳ねている。まぶたの裏が、砂を噛んだみたいにざらついていた。
左手の甲を見つめる。魔法陣のような痣が、朝日に照らされて、かすかに熱を持つ。
「……話すしかないんだよな」
振り返ると、屋上の入り口から、めぐみんが顔を出したところだった。
真紅の髪をサイドテールに結び、紅い瞳をまん丸にしている。ローブは昨日の戦いで少し汚れたままだ。左目の眼帯は、今日もきちんとつけられている。
「和真、こんな朝早くから何? まさか、昨日の戦いの後遺症で体調でも悪いの? それとも、私の爆裂魔法の素晴らしさを語り合いたくなったとか」
小走りに、和真の隣までやってくる。
「お前の頭の中は、爆裂魔法で埋め尽くされてんのかよ」
「当然よ。私の存在意義は、爆裂魔法と共にあるのだから」
胸を張るめぐみんに、和真は小さく息を吐いて笑った。でも、すぐに口元を引き締めた。
「めぐみん。話があるんだ」
声のトーンが変わったことに、めぐみんは気づいた。紅い瞳が、じっと和真の顔を捉える。
「……何よ、改まって。気持ち悪いわ」
「気持ち悪いって言うなよ。俺だって、こんな話、したくてしてるわけじゃないんだから」
和真は、深く息を吸った。朝の空気が、肺の奥まで入ってくる。冷たくて、少しだけ痛い。
「俺のスキルには、隠された効果がある。お前も知ってるだろ。魔力干渉ってやつだ」
めぐみんの肩が、ぴくりと動いた。
「……ええ、知ってるわ。あなたのスキルが、私の魔力を乱すことがあるって話でしょう」
「そうだ。そして、それは今も続いてる。昨日の戦いで、一時的に制御できたように見えたけど、あれは奇跡みたいなもんだ。俺のスキルは、まだ完全にコントロールできてない」
左手の痣を、ぎゅっと握りしめる。
「お前の爆裂魔法は、俺のせいで暴発するかもしれない。昨日はうまくいった。でも、次もうまくいくとは限らない。もし、また暴発したら、今度はお前自身が吹き飛ぶかもしれないんだ」
めぐみんは、黙って和真の話を聞いていた。風が吹いて、紅い髪がふわりと揺れる。
「だから……俺は、お前のそばにいちゃいけない」
胸の奥が、ぎゅっと締め付けられる。
「俺が近くにいる限り、お前の魔法は危険なままだ。俺の魔力干渉が、お前の才能を壊す。紅魔族の天才魔法使いとして、これからも爆裂魔法を撃ち続けたいなら、俺は邪魔なだけなんだよ」
めぐみんの顔を見られなかった。自分の靴の先を見つめる。
「だから、今日から距離を置こう。俺は、お前に近づかない。お前も、俺に近づかないでくれ」
沈黙が、屋上を包んだ。
朝の街の喧騒が、遠くから聞こえてくる。市場の呼び声、荷車の車輪の音、子供たちの笑い声。でも、屋上の上だけは、時間が止まったみたいに静かだった。
「……本気で言ってるの?」
めぐみんの声は、小さくて、震えていた。
「ああ、本気だ」
顔を上げなかった。
「あなたは、私の爆裂魔法を守ってくれた。昨日、私の魔力を安定させて、シルビアに勝った。それなのに、どうして」
「あれは偶然だ。俺のスキルが、たまたまうまく働いただけだ。次も同じようにできる保証はない。むしろ、次はもっとひどいことになるかもしれない」
「だからって、距離を置くの? 逃げるの? それで、私の爆裂魔法が安全になるって言うの?」
声が、少しずつ大きくなっていく。
「少なくとも、俺がそばにいなければ、お前の魔力が乱されることはない。お前は、自分の力だけで爆裂魔法を撃てる。それでいいだろ」
「よくないわよ!!」
叫んだ。和真は、驚いて顔を上げる。
めぐみんの紅い瞳に、涙が溜まっていた。朝日に照らされて、その涙がきらきらと光っている。
「よくないわよ……そんなの、全然よくない……」
めぐみんは、和真の手を、両手でぎゅっと握りしめた。小さな手が、震えている。それでも、その力は強かった。
「私は、あなたのスキルごと、好きになったのよ」
心臓が、ドクンと跳ねた。
「あなたのスキルが、私の魔力を乱すって言うなら、それも含めて、私はあなたを好きになったの。あなたが、私の爆裂魔法を暴発させるかもしれないって言うなら、それでも、私はあなたのそばにいたいの」
涙が、ぽたりと落ちた。和真の手の甲に、温かい雫が触れる。
「だから、一緒に強くなるのよ。あなたが私の魔力を不安定にするなら、私があなたのスキルを制御できるようになるまで、強くなればいいだけの話よ。逃げるなんて、許さないわ」
和真は、めぐみんの手を握り返した。自然に、そうしていた。
「私は、あなたのためだけに爆裂魔法を撃つって、決めたんだから。あなたも、私のためだけにいてよ。他の女の子のところに行くなんて、絶対に許さないんだから」
涙を流しながら、それでも笑った。和真の胸の真ん中が、じわりと温かくなる。
「……ありがとう」
小さく呟いた。
「俺、お前のスキルを制御する方法を、絶対に見つける。お前の爆裂魔法を、俺の手で守れるように。だから、待っててくれ」
めぐみんは、涙を拭って、力強く頷いた。
「ええ、待ってるわ。私の下僕が、私の爆裂魔法を守れるようになる日を」
二人は、屋上で見つめ合った。朝日が、二人を照らしている。風が、めぐみんの紅い髪を揺らした。
心臓の音が、うるさかった。でも、それは嫌な音じゃなかった。
——その時だった。
「和真ーーーー!!!」
館の下から、聞き覚えのある声が響いてきた。
振り返ると、屋上の入り口から、アクアが飛び出してきた。水色の髪を振り乱し、青い瞳を怒りで燃やしている。白と青の女神の装束は、昨日の戦いで泥だらけだ。
「和真、あんた、めぐみんと二人で何してるのよ! 私を差し置いて、朝からデート!? 女神の私を差し置いて!?」
「は? デート? いや、違う、これは……」
言い終わる前に、屋上の入り口から、次々と人影が飛び出してきた。
「和真様、ご無事でしたか! 昨日の戦いの傷は癒えましたか? 私が、騎士としてお傍に仕えます!」
金色の髪をなびかせ、ダクネスが駆け寄ってくる。鎧を着込んだ姿は、相変わらず堂々としている。だが、その頬がほんのり赤い。
「あの……和真さん、お邪魔だったでしょうか。私も、昨日のお礼を言いたくて……」
控えめな声で、ウィズが顔を出した。紫色の髪を揺らし、優しげな目をしている。少し顔色が青い。
「めぐみん、和真さん! おはよう! 昨日はすごかったね! 二人とも、本当にかっこよかったよ!」
元気いっぱいの声で、ゆんゆんが飛び込んできた。
和真は、屋上の入り口に集まった女性たちを見渡した。
「……なんで全員、俺の居場所が分かったんだよ」
「あんたの気配くらい、女神の私が感じ取れないと思ったの? それより、説明しなさいよ! なんで朝から二人でイチャイチャしてるのよ!」
「イチャイチャなんてしてないわよ! 和真と、真剣な話をしていただけよ!」
めぐみんが、和真の前に立ちはだかった。
「真剣な話? それ、恋の話ってやつじゃないの? 和真は私のものよ! 昨日、はっきり言ったでしょ!」
「和真は、私の下僕よ! 私の専属の下僕なの! あなたみたいなポンコツ女神に渡すわけないでしょ!」
「ポンコツ女神ですって!? この、ちんちくりんが!」
「ちんちくりんですって!? この、無駄に胸だけ大きい女神が!」
アクアとめぐみんが、お互いの胸を指差しながら罵り合いを始めた。
「お二人とも、落ち着いてください! 和真様を守るのは、私の騎士道の使命です! さあ、私を縛ってでも止めてみせてください!」
ダクネスが、両手を差し出して叫び始めた。
「みなさん、そんなに熱くなっては、体に毒ですわ。私が、氷で冷やして差し上げましょうか……?」
ウィズが、心配そうに魔法の杖を構える。
「ウィズさん、それ、逆に事態を悪化させるやつです!」
慌ててウィズの杖を押さえる。
「めぐみん、頑張って! 和真さんのこと、ちゃんと見てるから!」
ゆんゆんは、なぜかめぐみんを応援している。
「ゆんゆん、あんたはどっちの味方なのよ!?」
「えっ、私は、めぐみんの親友だから……」
「だったら、あんたも私の敵ね! 女神の加護を授けてやるわ!」
アクアが、両手を掲げた。
「ちょっと待て、アクア! それ、聖水を撒き散らすやつだろ! やめろ!」
叫びもむなしく、アクアは聖水を撒き散らした。
「女神の加護よ! この聖水を浴びた者は、幸せになれるのよ!」
「きゃあ! 冷たい! やめなさいよ、このポンコツ女神!」
「ああっ! 聖水が私の鎧を濡らして……! もっと、もっと浴びせてください!」
「ああ……服が濡れてしまいました……」
「え、え、何これ、どういう状況!?」
屋上は、一瞬でカオスと化した。水浸しになりながら、女性たちが取っ組み合いを始める。アクアは聖水を撒き散らし、めぐみんは爆裂魔法を放とうとして、ダクネスは縛ってほしいと叫び、ウィズは氷の魔法を唱えようとし、ゆんゆんはおろおろしている。
「お前ら、真面目にやれよ! 朝から何やってんだよ!」
和真は、ツッコミを入れた。でも、口元が緩んでいる。
和真は、笑いながら、取っ組み合いを止めようと、女性たちの間に割って入った。
「和真に近づかないで! あなたたち、本気でやりなさいよ!」
めぐみんが、叫んだ。その声は、怒っているのに、なぜか楽しそうだった。
「めぐみん、あんた、笑ってるじゃないの!」
「笑ってないわよ! これは、怒りの笑みよ!」
「はいはい、怒りの笑みね。でも、あんた、口元がすごく緩んでるわよ」
「うるさいわね! これは、戦士の笑みよ!」
アクアとめぐみんは、言い争いながらも、お互いに笑っていた。ダクネスも、ウィズも、ゆんゆんも、いつの間にか笑っている。
和真は、その光景を見て、心の中で、そっと呟いた。
——その夜。
和真は、ハーティアの館の自室に戻っていた。
昼間の騒動の後、女性たちはようやく落ち着いて、それぞれの部屋に戻っていった。めぐみんは、和真の部屋の前まで来て、何か言いたそうにしていたが、結局、何も言わずに自分の部屋に戻っていった。
ベッドに腰掛けて、左手の甲を見つめる。魔法陣のような痣が、月明かりに照らされて、ぼんやりと浮かび上がっている。
和真は、ステータス画面を開いた。
『ステータス閲覧 Lv.1 対象の能力値を可視化する』
『追加効果: 魔力干渉(微弱++)』
そして、その下に、新しい文字が浮かんでいた。
『スキル進化条件:???』
「……は?」
画面を凝視する。昨日までは、『仲間の信頼』と表示されていた。それが、今は、『???』に変わっている。
「なんだよ、これ。進化条件が、分からなくなってる?」
画面をスクロールしてみた。でも、『???』の文字は、変わらなかった。
「進化……? 俺のスキルが、まだ強くなるのか?」
その時、机の上に、何かが置いてあることに気づいた。
黒い羽根。
一枚の、黒い羽根が、机の上に置かれていた。
手に取る。羽根の下に、小さな紙切れが隠れている。
紙切れを広げた。
『あなたのスキルは、まだ真の力を秘めている。次に会う時、その真価を見せてもらうわ』
優雅な筆跡。シルビアの字だった。
「……シルビア」
紙切れを握りしめる。
和真は、窓の外を見た。月が、静かにアクセルの街を照らしている。でも、その月明かりのどこかに、シルビアの金色の瞳が潜んでいるような気がした。
「……真の力、か」
小さく呟く。
和真は、左手の痣を、ぎゅっと握りしめた。
「……やるしかない。俺のスキルを、完全に制御する。めぐみんのためにも、みんなのためにも」
——翌朝。
和真は、めぐみんと共に、アクセル冒険者ギルドの訓練場を訪れていた。
訓練場は、朝早くから冒険者たちで賑わっている。剣の稽古をする者、魔法の練習をする者、体力づくりに励む者。木剣がぶつかる音、詠唱の声、足音が、石畳に反響している。
受付嬢のルナに声をかけた。銀色の髪を後ろで束ねた、優しそうな顔立ちの女性。
「あら、和真さん。おはようございます。今日は、どうされましたか?」
「ルナさん。俺、スキル制御の修行をしたいんです。ギルドの訓練場を、使わせてもらえませんか」
「スキル制御の修行、ですか。珍しいですね。どんなスキルの制御ですか?」
「俺の、ステータス閲覧スキルです。隠された効果があって、それがまだ、うまく制御できてないんです」
ルナは、少し考え込んだ。
「なるほど。あなたのスキルには、魔力干渉の効果があると聞いています。昨日の戦いで、めぐみんさんの爆裂魔法を安定させたとか」
「よく知ってますね」
「ギルドの頭取ですから。街の出来事は、だいたい把握しています。それに、あなたのスキルは、ギルドとしても非常に興味深いですから」
ルナは、微笑んだ。
「珍しいスキルの制御修行。ギルドとしても、支援させていただきます。訓練場の使用許可を出しましょう」
「本当ですか? ありがとうございます!」
頭を下げる和真に、ルナは穏やかに続けた。
「頑張ってくださいね。和真さんなら、きっと、そのスキルを自分のものにできるはずです」
訓練場の中央に立つと、和真は、めぐみん、アクア、ダクネス、ウィズ、ゆんゆんを振り返った。いつの間にか、みんな、和真の後ろに集まっていた。
「みんな、聞いてくれ。俺は、自分のスキルを制御できるようになる。みんなと一緒に、強くなるんだ」
「それでこそ、私の下僕よ。期待してるわ」
めぐみんが、満足げに笑った。
「和真がやる気なら、女神の私も応援してあげるわよ! 感謝しなさい!」
「和真様、私もお手伝いします! 何なりと、この身をお使いください!」
「私も、魔法の知識でお役に立てることがあれば……」
「和真さん、私も応援してるよ! 頑張って!」
和真は、みんなの顔を見渡した。胸の奥が、じわりと温かくなる。
でも、その心の片隅には、シルビアが残した言葉が、まだ引っかかっていた。
『あなたのスキルは、まだ真の力を秘めている』
(真の力、か)
(それが、どんな力なのか、まだ分からない)
(でも、俺は、それを制御して、みんなを守る)
和真は、拳を握り締めた。
訓練場の朝日が、和真の背中を照らしていた。Noveliaとは?
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