借金男のハーレム革命 〜ドS魔導書に絶対服従中〜
借金男のハーレム革命 〜ドS魔導書に絶対服従中〜
レオン・クロウフォードは超がつくほどの貧乏冒険者で、借金取りから逃げ回る日々を送っていた。ある日、ギルドのゴミ捨て場から埃まみれの古びた本を拾う。それは伝説の魔導書『黒の黙示録』だった。しかし、契約の挨拶代わりに、そのドSな精霊リリアから平手打ちを食らう!
「この役立たずの虫ケラが!覚悟しなさい、私が一人前の契約者に鍛え上げてやるんだから!」
リリアの容赦ない訓練の下、レオンは涙ながらにスキルを急上昇させていく。初めての本格的な任務で幼なじみで受付嬢のミーシャを救ったことで、彼女の受動的だった恋心は、超積極的な猛アタックへと変貌。さらに事態をややこしくするのが、ギルド最強のSランク戦士エレナ・ヴァレンシュタイン。普段は氷のようにクールな彼女が、レオンが他の女の子と話すたびに、あからさまに不機嫌になるのだ。
突然女の子たちに囲まれるようになった、超がつくほど鈍感なレオンは全く気づかず、「なんで最近みんな俺に冷たいんだ!?」とパニックになるばかり。その隙を突いて、嫉妬に狂った元同僚ザックが、偽のSランク緊急クエストを渡す罠を仕掛ける
借金男のハーレム革命 〜ドS魔導書に絶対服従中〜 - ドS精霊の地獄特訓——幼なじみの鼓動と触れた柔らかさ
頭の奥で、誰かがけたたましく鐘を叩いている。
「……」
レオン・クロウフォードは薄い布団の中で、夢と現実の間をふらふらしていた。体中がだるい。昨日、借金取りのヴィンセントに殴られたあばらが、息をするたびにズキズキ痛む。このままもう少しだけ、あと少しだけ——。
ふと、胸の奥がじわりと熱くなった。
「……ん?」
手の甲を見る。契約印がうっすらと赤く光っている。昨日まではただの黒い模様だったのに、今はまるで小さな炭火を押し当てたみたいな熱さがある。
「……やべえっ!」
飛び起きた。窓の外はもう真っ青な朝の色だ。壁に掛けたボロ時計を覗き込む。針は五時五十五分を指していた。
「まじかよ、なんでだよ!」
グロウデンの森までは全力で走っても十五分。下手すりゃ間に合わない。リリアの顔が頭に浮かぶ。あの真紅の瞳でにっこり笑って——。
『遅れたら半刻、契約印をフル出力するから』
昨日の夜、あいつは確かにそう言った。
「死ぬ!」
継ぎ接ぎの革鎧を引っ掴み、机の上のパンを一枚くわえた。銅貨二枚しかない財布をポケットに突っ込む。階段を三段飛ばしで駆け下りる。
「おや、レオン! 朝飯は——」
宿屋の女将ハンナが声をかけてきたけど、振り返る余裕はなかった。パンを口から離さず、半分叫ぶように返す。
「い、いってきます!」
宿の扉を蹴破るように飛び出す。カナルベルグの旧市街——狭い路地と傾いた石造りの建物がひしめく貧民街だ。まだ朝早いから人通りはまばら。一日の陽射しが石畳を白く照らし始めている。
全力で駆ける。くすんだ金髪が風にバサバサとなびく。左頬の古傷がひきつれる。
(間に合え、間に合え、間に合え——)
旧市街を抜け、七つの石橋の一つ「西の太鼓橋」を渡る。ルーゲン河の水面が朝日を浴びてキラキラ輝いている。対岸は市場の賑わいが聞こえるけど、レオンは北東へ続く街道をひたすら走った。
街が遠ざかり、やがて道は踏み固められた土の道になる。木々が増え、空気が湿り気を帯びてくる。グロウデンの森が近い。
森の入り口に着いた時、肺が張り裂けそうだった。汗が目に入ってしみる。息を切らしながら腰に手を当て、顔を上げた。
そこに——。
「遅い」
リリアが空中に浮かんでいた。漆黒のロングヘアが風もないのにふわりと揺れている。真紅の瞳が冷たくレオンを見下ろした。手に絡みついた契約の鎖がシャラリと音を立てる。
「ま、待ってくれ! まだ六時ちょうどだろ! 間に合った——」
リリアの口元が、ほんの少しだけ歪んだ。
「残念。私の体内時計では、もう一秒過ぎてるわ」
「はあ!?」
リリアが左手をかざす。契約印が一気に輝きを増した。
次の瞬間——。
全身が、内側から熱湯をかけられたみたいに熱くなった。
「う、あああっ!」
レオンは膝から崩れ落ちた。地面に両手をつく。指が泥に食い込む。甘ったるい熱が血管を駆け巡り、痛みと快感の境目がぐちゃぐちゃになって神経を焼く。
(なんだこれ、なんなんだよこれ——!)
体がのたうち回る。背中が弓なりに反り返る。歯を食いしばるけど、口からは抑えきれないうめき声が漏れた。視界の端が白く弾ける。
「どう? なかなか気持ちいいでしょ」
リリアがレオンの顔の横に浮かび、耳元で囁く。その声はやけに優しいのに、目は全然笑っていない。
「ど、どこがだよ!」
三、二、一——。
ぱたりと、熱が引いた。
レオンは荒い息を繰り返しながら、泥の上に突っ伏した。体中の汗が冷たくて、今度はぶるっと震えがくる。
「これが契約印の罰よ。次、半刻遅れたらこれの十倍。一時間遅れたら百倍。一日サボったら——」
リリアはそこで言葉を切り、にっこりと微笑んだ。
「死ぬかもしれないわね」
レオンは泥まみれの顔を上げた。
「……本気で言ってるのか?」
「本気よ。さあ、訓練を始めるわ。もう休憩は終わり」
リリアは右手をひらりと振った。すると、周囲の茂みがざわざわと揺れ始める。低く唸るような声がいくつも聞こえた。
五匹のゴブレットが、木々の間からにじり出てきた。
緑色の肌、ひょろ長い手足、ギョロリと黄色い目玉。体長は一メートル半くらい。手には尖った石やボロボロの小剣を持っている。Gランクのレオンでも、一匹ならなんとか倒せるレベルの相手だ。
でも——。
「ちょ、ちょっと待て! 武器は?」
「素手よ。魔力だけで倒しなさい」
「無理だろ!」
「やってみなければわからないわ。それとも、また罰を受けたい?」
リリアの左手がわずかに上がる。レオンは反射的に飛び退いた。
「わ、わかったよ! やればいいんだろ!」
ゴブレットたちがじりじりと距離を詰めてくる。レオンは地面に落ちている石を拾い、力任せに投げつけた。
「おりゃあ!」
石が一匹の肩に当たる。ギャッと鳴いてよろけたが、すぐにまた向かってくる。別の一匹が横から飛びかかってきた。
「うわっ!」
とっさに転がって避ける。肩のあたりを鋭い爪がかすめ、革鎧が裂けた。じわりと血がにじむ。痛い。
(やばい、数が多い——)
手近にあった棒切れを拾い、二匹をまとめて薙ぎ払う。一本は手応えがあったけど、もう一本は空振り。バランスを崩したところに三匹目が飛び込んできて、太腿に噛みつこうとした。
「させっかよ!」
蹴り飛ばす。ゴブレットが悲鳴を上げて転がる。でも、残り四匹がもう囲んでいる。息が荒くなって、汗が目に入る。腕が重い。
「使えないわね」
リリアが呆れ声を出した。
「言われなくてもわかってるよ!」
その時だった。
背中に、柔らかな感触が密着した。
「……え?」
リリアが背後からレオンの右手を両手で包み込むように掴んでいた。彼女の胸の柔らかさが背中に伝わってくる。耳のすぐ横で、吐息がかかるほど近くに彼女の顔がある。
「目を閉じて」
声が鼓膜をくすぐる。甘くて、でもどこか命令めいた響きだった。
「な、なに——」
「文句言わない。目を閉じて、私の魔力の流れを感じなさい」
レオンの顔が一気に熱くなった。耳の先まで真っ赤になる。
(近すぎるってば!)
でも、逆らったらまたあの罰がくる。それだけは絶対に嫌だ。
レオンはぎゅっと目を閉じた。
すると——。
「……ん?」
リリアの手から何かが流れ込んでくる。冷たくて熱い、矛盾した感覚。闇の魔力だ、と直感的にわかった。それはレオンの腕の中をゆっくりと巡り、指先まで満たしていく。
(これが……魔力の流れってやつか)
今まで一度も感じたことがなかった。普通の魔法を使える人たちは、これを自分で操って火を出したり風を起こしたりするんだろう。でも、レオンの体に今流れているのは、街の魔術師たちが使うものとは全然違う質だった。
もっと深くて、重くて、むしろ心地いい。
「そう。その感覚よ。今から手を離すから、そのまま流れを保って——」
リリアが手を離した。
途端に、魔力がレオンの右手に集中する。制御できない。溜まりすぎていく。体の中にダムが崩壊したみたいな感覚だ。
「う、おおおお——!」
右手を前に突き出す。目を見開く。
漆黒の波動が、手のひらから放たれた。
ゴブレットの一匹が直撃を受けて吹っ飛ぶ。ギャアアア、と間抜けな断末魔を上げて、木の幹に激突した。ぱたりと動かなくなる。
残りの四匹が立ち止まり、怯えたように後ずさった。やがて蜘蛛の子を散らすように、茂みの奥へ逃げていく。
レオンは荒い息を繰り返しながら、自分の右手を見つめた。
「……なんだ、これ」
手のひらに、まだ淡い闇色の残滓が揺らめいている。
「まあ、初めてにしては上出来よ」
リリアがふいっと横を向きながら呟いた。その頬が、ほんのちょっとだけ赤い気がする。気のせいかもしれないけど。
「今の、俺がやったんだよな? すげえ!」
「調子に乗るなクズ雑魚。あんなのマグレよ、マグレ。まだ魔力の量も制御も全然ダメ。これから地獄よ」
リリアはそう言いながらも、口元がほんの少し緩んでいる。ツンデレだ、と思った。口では散々罵倒するけど、実はちょっと嬉しそうだ。
それから三十分ほど、同じ訓練を繰り返した。魔力の感覚を掴んでからは成功率が上がって、何度か波動を出すことに成功したけど、五回に一回くらいしか当たらない。それでも、リリアは「進歩が遅すぎる」 と文句を言いながらも訓練を続けさせた。
「休憩よ。あっちに小川があるから、血を洗い流しなさい」
そう言われて、レオンは自分の体を見下ろした。肩と太腿の引っかき傷から血が流れて、革鎧に染みを作っている。汗と泥と血でぐちゃぐちゃだ。
小川のせせらぎを聞きながら歩くこと数分。森の中の開けた場所に、透明な流れがキラキラ光っていた。
「服を脱ぎなさい」
「……は?」
「そのボロ鎧じゃ傷の手当てができないわ。それとも、傷口が化膿してもいいの?」
「いや、でも——」
リリアはため息をつくと、指をパチンと鳴らした。
次の瞬間、レオンの上着と革鎧が一瞬で消え去った。
「うわああっ!? なにすんだよ!」
レオンは慌てて胸を隠す。上半身裸だ。痩せていて、あばらが浮いている。体には古い傷跡がいくつもある。
「安心しなさい。そんなガリガリの体、なんとも思わないわ」
リリアはくすっと笑って、くるりと背を向けた。でもその耳の先が、ちょっと赤くなっている。
レオンは仕方なく川に入り、冷たい水で傷口を洗った。水が滲みて痛い。でも、森の静けさと小川のせせらぎが、さっきまでの緊張を少しだけ和らげてくれる。
(こんな生活、いつまで続くんだろうな)
借金が金貨十五枚。月の返済が銀貨三十枚。Gランクの依頼報酬じゃ月に十枚稼ぐのがせいぜいだ。リリアの訓練で強くなって、Dランクくらいに上がれれば月に五十枚は稼げるっていうけど——。
「レオン、急いで服を着なさい。誰か来るわ」
リリアの声にハッと顔を上げる。彼女は川岸に浮かびながら、森の小道の方をじっと見つめていた。
その時だった。
「——きゃああっ!」
悲鳴が森に響いた。
レオンは濡れた体のまま川から飛び出す。リリアが消し去った上着はもう元に戻っていたので、慌てて引っ掛ける。鎧は……まあいい、後だ。
「今の声——」
「助けなさい。珍しくグズグズしないの」
契約印が淡く輝いた。体が勝手に動き出す。走りながら、周囲の気配を探る。さっきまで訓練で感じていた魔力の感覚が、まだ指先に残っている。
小道を抜けると、開けた場所に出た。
「……ミーシャ!」
そこにいたのは、亜麻色のふんわりボブを乱したミーシャ・アーヴィングだった。彼女は薬草を入れるための籠を落とし、六匹のゴブリンに囲まれている。白いブラウスは汗と泥で汚れ、スカートの裾が破れかけている。
「れ、レオン……!」
ゴブリンはゴブレットより一回り大きくて、気性が荒い。集団で獲物を狩る習性がある。ミーシャは足が震えて動けないようだった。
「おい、こっちだ!」
レオンは大声を上げて、一番手前のゴブリンに飛びかかった。魔力の感覚を思い出しながら、拳に闇の波動を込める。ゴブリンの顔面に叩き込むと、そいつは吹っ飛んで木に激突した。
「う、うわ——」
自分でも驚く。さっきよりも威力が上がっている気がする。
でも、残りは五匹だ。二匹目が横から飛びかかってきた。とっさに避けきれず、太腿に牙が食い込む。激痛。血が噴き出す。
「このやろう!」
振り返りざまに殴りつける。拳にまた魔力を集中させる。もう一匹、吹っ飛んだ。
三匹目。手近な棒切れを拾い、思い切り横薙ぎに振り回す。ゴブリンの頭にクリーンヒット。ガツン、と鈍い音がして、そいつは地面に倒れた。
残り三匹は怯えて後ずさり、やがて茂みの奥へ消えていった。
「はあ……はあ……」
レオンは肩で息をしながら膝をついた。太腿の傷から血が流れて、地面に染みを作る。汗と血と泥でまたぐちゃぐちゃだ。
その時——。
「レオン!」
ミーシャが走り寄ってきた。
彼女の濡れたブラウスが肌に張り付いている。胸元がうっすら透けて、滑らかな肌の色が見えていた。でも彼女は構わず、レオンの腕に飛びついた。
「レオン、レオン、レオン……!」
ミーシャがレオンの腕に強く抱きつく。彼女の豊かな胸が、レオンの腕に柔らかく押し付けられる。じんわりとした温かさと、甘い匂いがふわりと鼻をくすぐった。
濡れたブラウス越しに、胸の感触がはっきりと伝わってくる。やわらかくて、ふくふくしていて、でもちゃんと弾力があって——。
「み、ミーシャ……! ちょっと待って、服が……」
レオンの顔が一気に熱くなった。耳の先まで真っ赤になる。頭が真っ白だ。何をどう考えればいいのかわからない。
(柔らかい。っていうか、密着してる。っていうか、いい匂いする。っていうか——)
「私、ずっと前からレオンのこと——」
ミーシャが涙と笑顔を混ぜた表情で顔を上げた。大きな緑の瞳がキラキラ濡れていて、そばかすが可愛い。彼女は何かを言おうとして——。
「あらあら、お熱いことで」
リリアが冷ややかな声で遮った。いつの間にかレオンの肩の後ろに浮いている。
ミーシャがハッとして一歩飛び退いた。自分の濡れたブラウスを見下ろして、顔を真っ赤にする。
「み、見てないよね!? 今の、見てないよね!?」
「たっぷり見てたわ。まあ、青春って感じで微笑ましいじゃない」
「ひ、ひどい……!」
ミーシャが両手で胸を隠しながらしゃがみこむ。レオンはどこを見ればいいのかわからず、とりあえず空を見上げた。青い空がどこまでも広がっている。
その時、がさり、と茂みが動いた。
「——おっと、邪魔したかな?」
現れたのは、ザックだった。
整った顔立ちに、灰色の瞳。いつも通りの爽やかな笑顔。肩には高級そうな新しい肩当て。背中には依頼で使ったらしい武器を背負っている。
「ザック……!」
「すごいじゃないか、レオン! まさかお前がゴブリンを倒せるようになるなんてな!」
ザックが近づいてきて、レオンの肩をポンと叩いた。その灰青色の瞳は笑っていたけど——ほんの一瞬だけ、奥の何かがチラリと覗いた。
(ああ、そうか)
ザックは心の中で呟いた。
(底辺のレオンが俺に追いつこうとしてるんだ。調子に乗るなよ、お前はいつまでも這いずり回ってろ)
でも、顔に出すことはしない。彼は笑顔の仮面を完璧に貼り付けたままだった。
「でも、レオン。無理は禁物だぜ。まだ一匹倒せるようになっただけだろ? 浮かれるなよ」
「うん……わかってる」
「あら、あなたに言われる筋合いはないわね」
リリアが冷ややかにザックを見下ろした。
ザックの顔が一瞬で引きつった。でも、すぐに愛想笑いに戻る。
「はは、これは手厳しい精霊サマだ。まあ、俺は先に戻るよ。依頼の報告があるんでね」
ザックはひらりと手を振って、街への道を歩き出した。でもその背中を見送るリリアの目は、とても冷たかった。
「あの男、何か企んでるわね」
「え? ザックが? まさか——」
「鈍感クズ雑魚は気づかないでしょうね。まあいいわ。気をつけなさい」
ミーシャがまだ赤い顔でレオンの袖を引っ張った。
「レオン、明日も訓練、見に行っていい……?」
上目遣いだ。濡れたまつげが震えている。
「い、いや、危ないからダメだ」
「もう! じゃあ、今夜、ギルドの裏で待ってるからね!」
ミーシャは拗ねた顔で言い残すと、薬草の籠を拾い上げて走り去っていった。その背中を見送りながら、レオンはぼんやりと呟く。
「……なんなんだ、あれ」
「恋愛脳ね。でもまあ、あなたには必要なことかも」
リリアはそう言いながらも、なぜかちょっと不機嫌そうだった。
「さて、明日の訓練は今日の倍の量よ。今日より一瞬でも早く来なさい。恋愛脳にかまけてる暇はないわ」
「えええ……」
「文句ある?」
リリアの左手が持ち上がる。レオンは慌てて首を横に振った。
――
夜。
宿「渡り鳥の巣」の一室。
レオンは傷の手当てを終え、ベッドに腰を下ろしていた。机の上には、いつの間にか置かれていた一枚の紙。
借金の督促状だった。
『返済期日まで、あと二日』
「……二日か」
財布を開ける。中には銅貨二枚。
(明日の朝飯は買えるけど、それだけだ)
それでも、レオンは小さく息を吐いた。今日は初めて魔力を使えた。ゴブリンも倒せた。ミーシャを助けられた。
(ちょっとだけ、進めた気がする)
でも——。
頭の片隅に、ザックの一瞬の表情がよぎる。あれはなんだったんだろう。リリアは「気をつけなさい」と言ったけど。
窓の外は静かな夜だった。遠くからルーゲン河のせせらぎが聞こえる。
「まあ、なんとかなるだろ」
レオンはそう呟いて、ボロ布団に潜り込んだ。
胸の中に、今日の訓練の感触とミーシャの胸の柔らかさが、なんとなく混ざって残っている。Noveliaとは?
Noveliaは、AIでライトノベルや二次創作を「読んで・数タップで作って・キャラクターと会話できる」プラットフォームです。挿絵つきの新作が毎日届き、無料で始められます。