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白椿(しらつばき)私立学園。丘の上の女子校は、六月の雨が降り始めると、いっそう閉ざされた空気に包まれる。誰にでも明るい笑顔を向ける佐伯ひまりは、密かにクラスメイトの東雲澪を恋していた。同性を好きになる自分は「おかしい」のだと思い込み、今日も明るい仮面を被って過ごす。けれど澪は知っていた。ひまりの恋心も、苦しみも。澪は気づかないふりをしながら、時折、ひまりにだけ向ける甘い独占欲をのぞかせる。 雨の放課後、忘れ物の折りたたみ傘を差し出す澪。指が触れ合い、ひまりは俯く。「私がいるよ。他に何か、要る?」静かに問う澪。図書室の片隅で、二人きりになると、澪の視線はひまりの唇を追う。更衣室では、冷たい指が髪に触れる。「声、我慢しなくていいよ」。澪は優しい。優しすぎるほどに、ひまりだけを見て、ひまりだけを限界まで追い詰める。 友達と笑うひまりの隣で、澪は囁く。「ひまりって、そうやって笑うんだ」。その声だけで胸が苦しくなる。親友の三波すみれは鋭く、ひまりの引きつった笑みと、澪の冷たい視線に気づいている。それでも何も言えない。軽くからかって、見て見ぬふりをするしかない。 隣接する男子校の高梨朔は、ひ
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