男子高校生の日常・真田北スクランブル
真田北高校2年A組、放課後の教室は今日も平和に騒がしい。炭酸が飲めないだけで人類の分岐点を語り出す友人、意味もなく眼鏡をかける親友、そしてツッコミに追われる俺・タダクニ。そんな日常に舞い込んだのは、妹からの一通のメール――「お兄ちゃんの下着、自販機に詰めといたから☆」。校門前の古い自販機に駆けつければ、そこにはなぜか下着を排出する謎の改造自販機と、下顎が突き出た変人・化学部元部長の姿が。次々と転がり出るブリーフ、集まる野次馬、笑いをこらえない友人たち。そして妹は、なぜか生徒会の唐沢さんに相談しているらしく……。下着と自販機と下顎が交錯する、男子高校生のシュールで騒がしい日常コメディ。笑いのあとに、ほんの少し昔の記憶がよぎる――。
男子高校生の日常・真田北スクランブル - 晒された日記と、妹の涙
放課後。空はどんよりと曇り、生ぬるい風が吹いていた。
タダクニは校門を出ると、スマホを握りしめたまま早足で歩き出した。後ろから、茶髪のヒデノリと金髪のヨシタケが追いかけてくる。
「タダクニ、本当に中央高校まで行くのかよ」
「当たり前だろ。あいつらに会って、話をつける」
「話をつけるって、相手はヤナギンと生島だぜ? 空手とレスリングの達人だろ」
ヨシタケが大げさに肩をすくめた。身長178センチの体が、曇天の下でやけに大きく見える。
「だからなんだよ。妹の日記を返してもらうだけだ」
「でもよ、あいつら、この前の書き込み見た限り、かなり本気だぜ」
「本気なのはこっちも同じだ」
ヒデノリが眼鏡を押し上げた。視力2.0のくせに、なぜかいつも眼鏡をかけている男だ。
「タダクニ、お前、昨日の夜からずっと変だぞ。顔色も悪いし」
「別に。寝てないだけだ」
「寝てないって、お前、昨日の書き込み見てから、ずっと調べてたんじゃないのか?」
タダクニは答えなかった。代わりに、歩く速度を上げる。
中央高校は、真田北高校から自転車で二十分ほどの距離にある。歩けば四十分はかかる。でも、今は自転車に乗る気分じゃなかった。体を動かしていないと、頭がおかしくなりそうだった。
「なあ、タダクニ。お前、自分の妹のことで、そこまで必死になるタイプだったっけ?」
ヨシタケが、いつもの調子で軽く言った。
「……お前、それ、本気で言ってるのか?」
タダクニが立ち止まり、振り返る。ヨシタケの顔を、じっと見た。
「え、いや、悪い。今のは、その、なんだ」
ヨシタケが、珍しく言葉を詰まらせた。
「ヨシタケ、お前、空気読めよ。タダクニは今、マジでキてるんだから」
「わ、悪かったって。俺も、タダクニの妹のことは心配してるんだぜ」
「……ありがとう。でも、これは俺の問題だ。お前らまで巻き込むわけには」
「まだ言ってんのかよ、それ!」
ヒデノリが、突然、声を荒げた。
「昨日も言っただろ。俺たちは友達だ。友達の妹がピンチなのに、黙って見てられるかよ」
「そうだぜ。俺たち、こう見えて義侠心は強いんだ」
ヨシタケが、胸を張った。
タダクニは、二人の顔を、順番に見た。
(こいつら、本当に、馬鹿だな)
でも、その馬鹿さが、今は、少しだけ、心強かった。
「……分かった。でも、危なくなったら、すぐに逃げろよ」
「お前、何言ってんだよ。逃げるわけないだろ」
「そうだぜ。俺たち、三人で行くんだ。三人なら、なんとかなる」
タダクニは、小さく笑った。
「そうだな。三人なら、なんとかなるか」
三人は、再び歩き出した。
曇り空の下、中央高校の校舎が、遠くに見えてきた。
校門の前には、すでに、二人の女子高生が立っていた。
一人は、眼つきの悪いメガネをかけた少女。黒い髪を後ろで一つにまとめ、制服のスカートの裾を短く折り曲げている。中央高校の制服だ。
もう一人は、ツインテールの少女。真田東女子高校の紺のブレザーを着て、にこにこと笑っている。見た目は可愛いが、その笑顔には、どこか毒があった。
ヤナギンと生島。
二人は、こちらに気づくと、笑みを深めた。
「あら、本当に来たの。北高のバカ三人組」
ヤナギンが、眼鏡の奥の鋭い目を光らせた。
「しかも、歩いて来たよ。自転車もないの? 貧乏くさ」
生島が、くすくすと笑った。
タダクニは、二人の前に立った。
「日記帳を返せ」
タダクニが、低い声で言った。
「は? なんであんたに返さなきゃいけないの?」
ヤナギンが、小首を傾げた。
「俺の妹のものだ。返してもらう」
「あら、あれ、あんたの妹のものだったの? 知らなかったわ」
「とぼけんな! お前らが盗んだんだろ!」
ヒデノリが、一歩前に出た。
「盗んだなんて、人聞きが悪いわね。私たちは、ちょっと借りただけよ」
生島が、ツインテールを揺らしながら言った。
「借りただけ? 人の家に勝手に入って、下着と日記を盗んで、借りただけだと?」
タダクニの声が、震えていた。
「あんたのせいで、大事なものをなくした人がいるのよ」
ヤナギンの声が、突然、冷たくなった。
彼女の視線は、タダクニではなく、その背後に向けられていた。
「……唐沢」
タダクニが振り返る。
いつの間にか、唐沢としゆきが、三人の後ろに立っていた。
黒い帽子を深く被り、鋭い黒い目が、ヤナギンを見据えている。体のあちこちに古い傷がある、生徒会の影の実力者だ。
「ヤナギン、生島。お前たちのやったことは、もう分かっている」
唐沢が、静かに言った。
「あら、何が分かってるの?」
「タダクニの妹の下着と日記を盗んだことだ」
「証拠は?」
ヤナギンが、挑発的に笑った。
「証拠なら、ある」
唐沢が、一歩、前に出た。
「あんたのせいで、大事なものをなくした人がいるのよ」
ヤナギンが、もう一度、同じ言葉を繰り返した。
「あんたが、あの時、私たちから奪ったもの。あれのせいで、どれだけの人が傷ついたか、分かってるの?」
唐沢は、答えなかった。代わりに、帽子のつばを、少しだけ下げた。
「あんたら、何も知らないのね」
生島が、嘲笑った。
「何も知らないから、そんなに暢気に、日記を返せなんて言えるのよ」
「関係ないだろ! 妹は関係ない!」
タダクニが、叫んだ。
「関係あるわよ。あの子は、あんたの妹だから」
ヤナギンが、冷たく言い放った。
「あんたの妹だから、あんたの周りの人間だから、私たちの敵なのよ」
「ふざけるな!」
タダクニが、ヤナギンに掴みかかろうとした。
「タダクニ、やめろ!」
ヒデノリが、タダクニの腕を掴んだ。
「離せ!」
「落ち着け! ここで手を出したら、お前が悪者になるだけだ!」
「でも!」
「落ち着けって!」
タダクニは、歯を食いしばった。
拳を握りしめ、震える。
ヤナギンは、そんなタダクニを、冷ややかな目で見下ろしていた。
「あんたに言ってない」
ヤナギンが、静かに言った。
「なに?」
「あんたに言ってない。あんたの妹に、直接、言ったのよ。あの日記、今夜、全校に晒してやるって」
タダクニの頭が、真っ白になった。
「な、なんで、そんなことを……」
「なんで? 簡単よ。あんたの妹は、あんたの妹だから。それだけの理由で十分でしょ?」
ヤナギンが、携帯電話を取り出した。
画面を、タダクニの目の前に突きつける。
そこには、真田北高校の校内ネット掲示板の、投稿予約画面が表示されていた。
『タダクニの妹の日記、公開します。今夜21時』
投稿予約時刻が、はっきりと書かれている。
「な……」
タダクニは、言葉を失った。
「今夜、21時。あの子の日記は、北高の全校生徒の目に触れるわ。もちろん、先生たちにもね」
「やめろ!」
「やめろ? どうして?」
「妹が、傷つく!」
「だから、それが目的よ」
ヤナギンが、にっこりと笑った。
「あんたの妹が傷つけば、あんたも傷つく。あんたが傷つけば、あんたの周りの人間も傷つく。そうやって、少しずつ、あんたたちの日常を壊していくの」
「ふざけんな! なんで、そんなことを!」
ヒデノリが、怒鳴った。
「あんたたちが何をしても無駄よ。これはケジメなの」
ヤナギンが、冷たく言い放った。
「ケジメって、何のケジメだよ!」
「知る必要はないわ。あんたたちには、関係ないことだから」
「関係ないわけないだろ! タダクニの妹が、お前らの勝手な理由で傷つけられようとしてるんだぞ!」
「だから、それがケジメなの」
ヤナギンは、それ以上、何も言わなかった。
「……シュールじゃねえ。これは、本気だ」
ヨシタケが、珍しく、真顔で呟いた。
「そうよ。私たちは、本気なの。本気で、あんたたちを壊すつもりなの」
生島が、ツインテールを揺らしながら、笑った。
「だから、あんたたちに、選択肢をあげる」
「選択肢?」
「ええ。今から、私たちに、土下座して謝るなら、日記の公開を、少しだけ遅らせてあげてもいいわ」
「な……」
「ほら、どうするの? 時間は、どんどん過ぎていくわよ」
ヤナギンが、携帯の画面を、タダクニの目の前で、ゆらゆらと揺らした。
「……お前」
「あら、怒っちゃった? でも、怒っても無駄よ。あんたに、私たちを止める力はないんだから」
タダクニは、拳を握りしめた。
爪が、手のひらに食い込む。
血が、滲む。
でも、痛みは感じなかった。
ただ、悔しかった。
何もできない自分が、情けなかった。
「……返してくれ」
タダクニは、絞り出すような声で言った。
「返してくれ。妹の日記を、返してくれ。お願いだ」
「お願い? あんたが、私たちにお願いするの?」
「……ああ。お願いだ。妹を、傷つけないでくれ」
タダクニは、頭を下げた。
「タダクニ!」
「やめろよ、タダクニ! お前が頭を下げる必要なんてない!」
「……でも、俺には、これしかできない」
タダクニは、頭を下げたまま、震えていた。
ヤナギンは、そんなタダクニを、しばらく、無言で見下ろしていた。
「……ふん」
ヤナギンが、鼻で笑った。
「あんたの妹は、あんたに、こんな風に頭を下げてほしいと思ってるのかしら?」
「なに?」
「あの子は、あんたに、もっと、ちゃんと向き合ってほしかったんじゃないの? あんたが、あの子のことを、もっと、ちゃんと見てあげてたら、こんなことにはならなかったかもしれないのに」
タダクニは、顔を上げた。
「どういう意味だ」
「さあ? 自分で考えたら? でも、もう遅いけどね」
ヤナギンが、携帯を、ポケットにしまった。
「それじゃあ、私たちは行くわ。今夜、楽しみにしててね」
「バイバイ、北高のバカ三人組」
生島が、手を振りながら、ヤナギンの後を追った。
二人は、校門の向こうに消えていった。
タダクニは、その場に、立ち尽くしていた。
「……タダクニ」
ヒデノリが、心配そうに、タダクニの顔を覗き込んだ。
「大丈夫か?」
「……大丈夫なわけ、ないだろ」
タダクニは、力なく笑った。
「俺、何もできなかった。あいつらの前で、ただ、頭を下げることしかできなかった」
「そんなことない。お前は、妹さんのために、必死だっただけだ」
「必死だっただけで、何も解決してない。むしろ、もっと、状況を悪くしたかもしれない」
「タダクニ……」
「なあ、タダクニ。俺、思うんだけど」
ヨシタケが、口を開いた。
「あの日記、公開される前に、なんとかして、投稿を止める方法はないのか?」
「止める方法?」
「ああ。例えば、校内ネット掲示板の管理者に連絡するとか」
「管理者って、誰が管理してるんだ?」
「さあ。でも、調べれば、分かるんじゃないか?」
「……そうだな。調べてみる価値はある」
タダクニは、スマホを取り出した。
「でも、時間がない。今夜21時だぞ」
「分かってる。だから、急ごう」
「ああ」
三人は、中央高校の校門を離れ、走り出した。
家に帰ると、家の中は、しんと静まり返っていた。
リビングの明かりが、ぽつんと点いている。
母が、ソファに座って、テレビを見ていた。
「……ただいま」
「おかえり」
母は、タダクニを見ると、少しだけ、困ったような顔をした。
「あの子、部屋から出てこないの」
「……そうか」
「今日、学校、休んだの。朝、部屋に行ったら、布団にくるまったまま、動こうとしなくて」
「熱でもあるのか?」
「熱はないみたい。でも、何か、あったんでしょ? あの子、昨日の夜から、ずっと、泣いてるの」
タダクニは、言葉を失った。
「あなた、何か知らない?」
「……いや、知らない」
タダクニは、嘘をついた。
「そう。なら、いいの。でも、もし、何か知ってるなら、教えてね。あの子、ああ見えて、繊細だから」
「……分かった」
タダクニは、リビングを出た。
二階に上がり、妹の部屋の前で、足を止めた。
中から、すすり泣く声が、かすかに聞こえる。
「……おい」
タダクニは、ドアに手をかけた。
でも、ノックすることはできなかった。
「おい、いるんだろ?」
返事がない。
「なあ、話を聞かせてくれ。俺、お前の力になりたいんだ」
しばらく、沈黙が続いた。
「……お兄ちゃんには、関係ない」
妹の声が、ドアの向こうから聞こえた。
「関係あるだろ。お前は、俺の妹なんだから」
「……お兄ちゃんは、何も知らないくせに」
「だから、教えてくれよ。何があったんだ」
「……もう、学校に行きたくない」
妹の声が、震えていた。
「なんでだよ」
「……だって、私の日記が、みんなに、読まれちゃうんだもん」
「まだ、公開されてないだろ」
「でも、今夜、公開されるんでしょ? あの人たちが、言ってたもん」
「あの人たちって、ヤナギンと生島のことか?」
「……知ってるの?」
「ああ。さっき、会ってきた」
「……会ってきたの?」
「ああ。日記を返せって、言ってきた」
「……返してくれた?」
タダクニは、答えられなかった。
「……やっぱり、ダメだったんだ」
妹の声が、泣き声に変わった。
「ごめん」
タダクニは、ドアに、額を押し当てた。
「ごめん。俺が、もっと、ちゃんとしてれば」
「……お兄ちゃんのバカ」
妹の声が、小さく聞こえた。
「お兄ちゃんのバカ。なんで、もっと早く、気づいてくれなかったの」
タダクニは、何も言えなかった。
ただ、ドアに額を押し当てたまま、立ち尽くしていた。
「……もう、行って」
「おい」
「お願い。一人にして」
タダクニは、しばらく、その場に立っていた。
でも、妹のすすり泣く声が、ドアの向こうから、ずっと聞こえていた。
「……分かった。また、後で来る」
タダクニは、そう言って、妹の部屋の前を離れた。
自室に戻ると、ベッドに倒れ込んだ。
天井を見上げる。
(俺は、何もできなかった)
(妹を守ることすら、できなかった)
(俺は、無力だ)
タダクニは、目を閉じた。
涙が、溢れてきた。
でも、声は、出なかった。
ただ、静かに、涙だけが、頬を伝っていった。
しばらくすると、スマホが震えた。
ヒデノリからのメッセージだ。
『なあ、タダクニ。俺、なんとかするから。絶対に、なんとかするから』
タダクニは、画面を見つめた。
『ありがとう。でも、俺がなんとかしなきゃいけなかったんだ』
タダクニは、そう返信した。
『何言ってんだよ。お前一人で抱え込むな。俺たちは友達だろ』
ヒデノリからの返信が、すぐに届いた。
『ありがとう。本当に、ありがとう』
タダクニは、それだけ返すと、スマホを枕元に置いた。
(友達、か)
(俺には、もったいないくらいの、友達だ)
でも、その友達にすら、今は、頼ることができなかった。
俺が、妹を守らなきゃいけない。
俺が、なんとかしなきゃいけない。
そう思えば思うほど、体が、重くなっていった。
いつの間にか、眠っていた。
夢を見た。
昔の夢だ。
小学生の頃。
ヒデノリが、いじめられていた。
何人かの男子に囲まれて、殴られていた。
ヒデノリは、泣いていた。
眼鏡を外されて、地面に落とされていた。
俺は、その光景を、遠くから見ていた。
(助けなきゃ)
そう思った。
でも、体が、動かなかった。
(怖い)
(俺も、いじめられるかもしれない)
(でも、ヒデノリが、泣いてる)
(ヒデノリは、俺の友達だ)
(友達を、見捨てるのか?)
俺は、走り出した。
指鉄砲を作って、輪ゴムを、いじめっ子たちに向けて、撃った。
パチン、パチン、パチン。
輪ゴムが、いじめっ子たちの顔に、当たった。
「なんだ、お前!」
いじめっ子たちが、俺に向かってきた。
でも、俺は、逃げなかった。
ヒーローのお面とマフラーを身につけて、パッヘルベルのカノンを口ずさみながら、輪ゴムを撃ち続けた。
俺は、ラバーシューターだった。
ヒデノリを守る、ヒーローだった。
夢の中で、俺は、笑っていた。
(俺は、ヒデノリを守れた)
(俺は、ヒーローだった)
(でも、今の俺は、何も守れない)
(妹のことも、守れない)
目が覚めた。
枕が、濡れていた。
涙の跡が、頬に、くっきりと残っていた。
「……夢か」
タダクニは、起き上がった。
朝だった。
窓の外から、鳥の声が聞こえる。
スマホを見ると、着信があった。
唐沢からだ。
タダクニは、折り返し電話をかけた。
「もしもし、唐沢さん? 俺です。タダクニです」
「ああ。今、大丈夫か」
「大丈夫です。何か、分かったんですか?」
「いや、まだ何も。だが、話がある。今日の放課後、生徒会室に来てくれ」
「話、ですか?」
「ああ。お前の妹のことだ。それと、ヤナギンと生島のことだ」
「……分かりました。放課後、必ず行きます」
「ああ。待ってる」
電話が切れた。
タダクニは、スマホを握りしめた。
(唐沢さんが、動いてくれる)
(もしかしたら、まだ、間に合うかもしれない)
タダクニは、妹の部屋の前に行った。
「おい」
ノックをする。
「おい、聞こえるか?」
返事がない。
「なあ、俺、今から、お前の日記を取り戻す。必ず、取り戻すから」
タダクニは、ドアに向かって、言った。
「だから、もう少しだけ、待っててくれ」
返事は、なかった。
妹は、布団から出てこなかった。
タダクニは、拳を握りしめた。
(必ず、取り戻す)
(妹の笑顔を、取り戻す)
タダクニは、家を出た。
空は、まだ、どんよりと曇っていた。
でも、タダクニの目には、光が宿っていた。
(絶対に、負けない)
タダクニは、真田北高校に向かって、走り出した。
生徒会室への道のりが、今日は、いつもより、長く感じられた。Noveliaとは?
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