壁の裏側、ふたりだけの体温
調査兵団のエレン・イェーガーと幼なじみのミカサ・アッカーマンは、巨人への復讐を誓う兵士である。ある夜、訓練遠征からの帰路で激しい雷雨に見舞われた二人は、森の奥深くにひっそりと佇む古びた小屋を見つける。ずぶ濡れで震えながら、人目から完全に隔絶された空間で、互いの体温を分け合うように身を寄せ合う。その瞬間、幼い頃から続く清廉な絆は砕け散る。エレンの無骨な手が凍えたミカサの身体を抱き寄せ、彼女の秘め続けた想いが涙とともに溢れ出し、二人は初めての激しい夜を貪り合う。
それは、二人だけの秘密となった。壁の外では巨人を屠り、壁の中ではただの幼なじみとして振る舞う。しかし、盗み合うような激しい肉欲の時間は、脆く危険な均衡の上に成り立っていた。
転機は、壁外調査任務の最中に訪れる。ミカサが深手を負ったのだ。彼女を失う恐怖に直面したエレンは、かつてない凶暴性をもって巨人へと変貌する。血の海の中で最後の一匹まで巨人を惨殺し、ミカサを死の淵から救い出す。
生還した二人は、秘密の関係に終止符を打つことを決意する。もう隠し立てはしない、と。しかし、そう決意したまさにその時、憲兵団のアニ・レオンハートが冷や
壁の裏側、ふたりだけの体温 - 雷雨の夜、廃屋の熱 —— 壁の内側の秘密
出発の朝は、いつも通り鉛色の空だった。
エレン・イェーガーは訓練場の片隅で、手にした訓練用の模造刃を鞘に戻す。特別な朝なのに、空は何も祝福してくれない。まあ、そんなものだ。
「[serious]今日も、壁の外か」
壁の外。巨人がうろつく、死の領域。調査兵団に入って半年、何度か出た壁外調査で、何人もの仲間が巨人に食われるのを見てきた。バキバキと骨が砕かれる音も、引きちぎられた手足が宙を舞うのも、もう見慣れた。慣れたわけじゃない、ただ、心のどこかで麻痺しているだけだ。
吐く息が白い。立体機動装置のハーネスが肩に食い込む重さが、これから向かう死地の現実を教えてくる。総重量十五キロの鉄とガスの塊。これに命を預けるのかと思うと、いつも胃の奥が冷たくなる。
エレンの視線の先、訓練場の向こうには、壁がそびえ立っている。
高さ五十メートル、上部の厚さは五メートルもあって、兵士が上を歩けるほどの巨大な防壁だ。この壁が三重に人類の居住区を囲っていて、一番外側のウォール・マリア、真ん中のウォール・ロゼ、そして王都ミスラを守る最内周のウォール・シーナ。全部で七十二万平方キロメートルもの土地が、これで仕切られている。日本の約一・九倍って誰かが言ってたけど、壁の外しか知らないエレンには、あまりピンとこなかった。
ただ、この壁のおかげで百二十年の平和があったのも事実だ。まあ、五年前にシガンシナ区が超大型巨人にぶち破られるまでは。
エレンは右手を見つめる。立体機動装置を使い始めた訓練生時代、ワイヤーの射出タイミングを間違えて地面に激突した時にできた傷跡が、まだくっきりと残っている。この装置は、両腰のワイヤー射出機と背中のガス推進器、それに超硬質鋼製の刃で構成されていて、使いこなすには最低でも半年はかかる。今でも、全兵士の約二割しかまともに扱えないって話だ。
「[excited]エレン!何ぼーっとしてんだ!」
同期のコニー・スプリンガーが、ピョンピョン跳ねながら駆け寄ってくる。小柄で、剃り込みを入れた坊主頭が特徴の男だ。いつも明るくて、場の空気を和ませるムードメーカーだった。
「[serious]別に。考え事だ」
「[laughing]どうせ復讐のことだろ!お前、巨人を見ると目の色が変わるからな!」
エレンは苦笑いする。確かに、頭の中はそればかりだ。母を食った巨人。五年前、シガンシナ区の壁が破られたあの日、自分は母を助けられなかった。超大型巨人が壁を蹴破り、そこから入り込んできたやつらが、家を押しつぶし、母の下半身を握りつぶし、そして、まるで果物を齧るみたいに、バリバリと――。
思い出すだけで、喉の奥が熱くなる。復讐。それだけが、エレンを突き動かしてきた。
「[angry]ああ、全部ぶっ殺す」
「[sarcastic]おっかないねえ……」
コニーが肩をすくめる。そんな時、ふわりと空気が変わった。
ミカサ・アッカーマンが、静かに二人のもとへ歩いてくる。黒くて長いストレートの髪が朝風に揺れ、冷たい碧色の瞳が、まっすぐエレンだけを見ていた。身長は百六十五センチほど。調査兵団の制服を着こなした体は細く、でもその内側に恐ろしいまでの戦闘力を秘めている。同期の中で、彼女に敵うやつはいなかった。
彼女はエレンの幼なじみだ。ずっと一緒に育ってきた。
「[gentle]エレン。準備はできた」
声はいつも通り淡々としていて、感情が読めない。でも、エレンにはわかる。彼女は自分のことを何よりも心配している。その証拠に、ミカサの視線はエレンの右腕の傷跡に向けられ、一瞬だけ眉がピクリと動いた。
「[serious]ああ、問題ない」
エレンは短く答える。ミカサはまだ何か言いたげだったけど、口を噤んだ。
結局、いつもこうだ。彼女は心配性で、エレンのことを守ろうとする。でも、エレンがムッとするから、何も言えなくなる。その繰り返し。
――これが、俺たちの日常だった。
訓練はいつもよりハードだった。
巨人の森と呼ばれる、ウォール・マリアの南西約三十キロに広がる原生林の中で、立体機動装置を使った模擬戦闘が行われた。樹高八十メートルを超える巨木が密集していて、ワイヤーを打ち込むには絶好の場所だ。でも、だからこそ危険でもある。実際の遠征では、この森でよく巨人が待ち伏せしている。
エレンは樹の幹を蹴り、ワイヤーを射出する。ガスが噴き出すシューッという音。身体が宙に浮き、次の樹へと飛び移る。この浮遊感は嫌いじゃない。でも、頭の隅ではいつも考えている――もし、ここに巨人が現れたら。
「[excited]おらあっ!」
同期のジャン・キルシュタインが、エレンの背後から模造刃を振りかざす。エレンはとっさに体をひねり、ワイヤーで急制動をかけた。ガスが一気に消費されるのがわかった。残量計の針が、ジリジリと下がっていく。
「[angry]お前、本気で殺す気かっ!」
「[sarcastic]本気でやらないと意味ねえだろ、死にたがり屋さんよ」
ジャンはニヤリと笑いながら、再び樹上へ消えていく。むかつくやつだけど、言ってることは正しい。調査兵団の訓練は命がけだ。手を抜いたらその分、本番で死ぬ。それだけの話だ。
実際、調査兵団の死亡率は異常だった。壁内の市民からは『税金泥棒』『死にたがりの集団』って散々な言われようで、壁外調査で得られる情報なんて壁の中の連中には関係ないと思われている。エレンたちは自分たちの存在価値を証明するために、毎回死ぬ覚悟で壁の外に出る。それなのに、壁の内側には腐敗した憲兵団――壁内の治安維持を担う、特権階級ども――がふんぞり返っている。訓練兵団で上位十位以内の成績を取ったエリートだけが入れるその組織は、貴族と癒着して、壁修繕の予算を横領したり、難民への食料配給をちょろまかしたりしているらしい。
ふざけるな、と思う。でも、今はそんなことより、目の前の訓練だ。
エレンは歯を食いしばって、再び立体機動装置を始動させた。
夕方、空の色がおかしくなった。
訓練を終えたエレンたちが兵舎へ戻ろうとした途端、西の空が真っ黒な雲に覆われ、遠くでゴロゴロと雷鳴が響き始めた。風が急に冷たくなり、巨木の枝が不気味にきしむ。
「[scared]やべえ、一気に降ってきそうだな」
「[serious]散開して帰るぞ。固まっていると落雷の標的になる」
号令と同時に、部隊はバラバラに動き出した。エレンはミカサの姿を一瞬確認し、迷わず彼女の後を追う。他の連中は各々の方角へ散っていく。木の葉が舞い上がり、視界が悪くなっていく。
ボツン、と大きな雨粒がエレンの頬を打った。次の瞬間、滝のような豪雨が森全体を叩きつける。
「[shouted]ミカサ!」
叫ぶ声もかき消されるほどの雨音。エレンはワイヤーを射出しようとしたが、ガス残量計が赤い警告表示を点滅させている。訓練で使いすぎた。もう、あと数発しか飛べない。
ミカサが樹上から地上に降り、エレンの元へ走り寄る。彼女の黒髪がびしょ濡れで顔に張り付いていた。
「[serious]エレン、ガスがもうない」
「[angry]俺もだ!くそっ、こんな時に!」
二人は走った。泥に足を取られながら、雨でぼやける森の中をひたすら進む。雷がすぐ近くに落ち、空気がビリビリと震えた。そのたびに、エレンの心臓がドクンと跳ねる。母が死んだ日も、こんな空だっただろうか。いや、あの日は――。
そんなことを考えていると、突然、目の前に小さな建物が現れた。
半分朽ちかけた、古い狩猟小屋だ。壁は苔むし、屋根の一部は抜け落ちているけど、雨風をしのぐには十分そうだった。森の北東部、小川のほとり。調査兵団の緊急避難地点だと、前に地図で見たことがある。
「[excited]あそこだ!入れ!」
二人は転がり込むように小屋の中へ飛び込んだ。
中は薄暗く、埃っぽかった。古い毛布と壊れた木箱が転がっているだけの、殺風景な空間。窓は一つだけで、そこから外の稲光が断続的に差し込んでくる。
エレンは乱れた息を整えながら、ずぶ濡れの上着を脱ぎ捨てた。ミカサも同じように、重くなった制服を脱ごうとして手間取っている。
「[gentle]――待て、そのままじゃ風邪を引く」
エレンは自分の乾いた部分の少ない上着を、ミカサの肩にかけてやった。ミカサは一瞬ビクッと体をこわばらせたけど、すぐに力が抜ける。
「[whispers]……ありがとう」
とても小さな声だった。すごく弱々しくて、いつもの彼女らしくない。エレンはなんだか胸のあたりがチクリとして、壁を背にして床に座り込んだ。ミカサも隣に座る。自然に、肩と肩が触れ合う距離になる。冷たい。彼女の体が、すごく冷たい。
外は相変わらず雷雨だ。雨音が小屋の屋根を激しく叩く。遠くでまた雷鳴が轟いた。
その瞬間だった。
――ドオォン。
雷の音が、エレンの脳裏に焼き付いた記憶を一気に呼び覚ました。超大型巨人がシガンシナ区の壁を蹴破ったあの轟音。家が押しつぶされ、悲鳴が上がり、母が、カルラ・イェーガーが巨人の大きな手に掴まれ、下半身がグシャリと潰れて、血が飛び散って、母が叫んで――。
「[angry]っ……!」
気がつくと、エレンはミカサの両肩を掴んでいた。ミカサの碧眼が、驚きで大きくなる。
「[scared]……エレン?」
「[crying]お前だけは……お前だけは、絶対に失わない」
声が震えている。自分でも、情けないと思う。でも止まらなかった。母を失い、故郷を失い、残されたのはミカサだけ。幼い頃からずっとそばにいて、何があっても自分を守ろうとしてくれる、たった一人の――。
ミカサの瞳に、涙がじわりと浮かぶ。
「[crying]エレン。私も……私も、エレンを絶対に失いたくない」
彼女の声は震えていて、普段の冷静沈着なミカサとはまるで別人みたいだった。そのギャップが、エレンの心のブレーキを完全に壊した。
気づけば彼女の顎に手を当てて、濡れて冷たい唇に自分の唇を押し当てていた。
甘いとか、そういうんじゃない。もっと必死で、原始的な衝動。ただ、彼女がここにいることを確かめたくて、確かめたくてたまらなかった。ミカサの身体が一瞬硬直したけど、すぐに彼女の腕がエレンの首に回される。指が背中に食い込んで、唇がもっと深く重なった。
「[whispers]……んっ」
ミカサの吐息が漏れる。彼女の口の中は、少しだけ血の味がした。唇でも切ったんだろうか。それすら、今は愛おしい。
二人は、ゆっくりと床に倒れ込んだ。
外の雨が、世界から二人を隔離する。
湿った上着が床に敷かれ、その上にミカサが横たわった。黒髪が乱れ、白いうなじが露わになる。まだ冷たい彼女の肌に指先が触れるたび、ミカサは小さく震えた。
「[sad]エレン、私……ずっと、あなたが……」
「[serious]わかってる。もう、言わなくていい」
エレンはミカサの言葉を遮って、再び唇を重ねた。言葉なんて要らない。彼女の全部が欲しかった。今までずっと胸の奥に押し込めていた、幼なじみ以上に感じていたこの気持ちを、全部ぶちまけたくなった。
ミカサの濡れたシャツをそっと捲り上げる。露わになった白い肌は滑らかで、肋骨の形がうっすらと見えた。エレンの手が彼女のわき腹をなぞると、ミカサはピクンと体を震わせて、息を浅く荒げる。
「[whispers]……ん、あ……」
その声が、耳にこびりつく。エレンは自分の心臓がうるさいほどに脈打っているのを感じながら、彼女の細い腰に手を這わせた。ミカサの目尻から涙がこぼれる。でも、それは悲しみとは違う涙だって、なぜだかわかった。
エレンは自分のボトムを寛げ、すでに硬くなってそそり立った自身のペニスを外気に晒した。ミカサの瞳が、それを見て大きく見開かれる。でも、彼女は逃げなかった。
「[whispers]ミカサ……入れるぞ」
「[crying]……うん。エレンの、欲しい」
彼女の女らしい声が、そう答える。エレンはミカサの下着をずらし、彼女の脚をゆっくりと開いた。彼女の秘所はもうびっしょりと濡れていて、愛液でテラテラと光っている。指でそっと秘裂をなぞると、ミカサの腰がビクンと跳ねた。
「[scared]ひあっ……」
エレンは自分のペニスの先端を、彼女の入り口にグッと押し当てる。まだ少し冷たいが、内側からは熱い蜜がとろとろと溢れてきていた。
ゆっくりと、腰を押し進める。
「[crying]ああっ……!エレン、エレンっ……!」
ミカサが首をのけぞらせ、長い黒髪が床に散る。膣内は驚くほど狭く、熱く、エレンのペニスをぎゅうぎゅうと締め付けてきた。最奥まで一気に突き入れると、ミカサは小さく悲鳴を上げ、エレンの背中に爪を立てる。
「[angry]動くぞ……!」
抑えきれない衝動のまま、エレンは腰を打ちつけ始めた。ぐちゅ、ぐちゅ、と濡れた音が小屋の中に響く。ミカサの膣が、エレンのピストン運動に合わせてうねり、絡みついてくる。
「[crying]あぁっ、深い……!奥に、当たってる……!」
「[excited]気持ちいいか、ミカサ……!」
「[crying]んんっ、いい……!いいの、もっと、もっとして……!」
普段はクールな彼女が、こんなにも乱れて、涙を流しながらおねだりする。そのギャップがエレンをさらに興奮させ、ペニスがさらに硬く膨れ上がる。彼はミカサの細い脚を高く持ち上げ、さらに深く、容赦なく突き込み続けた。
ミカサのヴァギナは、何度も何度もエレンを締め付け、愛液が白く泡立って結合部から溢れ落ちる。彼女の小さな乳房が激しい動きに合わせて揺れ、ピンク色の乳首が固く尖っていた。
「[whispers]エレン……お願い、中に、中に出して……!」
彼女が懇願する。その言葉で、エレンの中で何かが弾けた。
「[angry]……出すぞ、ミカサっ!!」
極限まで高まった快感に耐えきれず、エレンは彼女の最奥にペニスを押し込んだまま、ドクドクと白濁の精液を吐き出した。熱いザーメンが彼女の子宮に注ぎ込まれる感覚に、ミカサもまた、小さく叫びながら身体を弓なりに仰け反らせ、連続して絶頂に達した。ビクビク、と彼女の全身が痙攣する。
「[crying]あ、ああああ……っ!!」
二人は荒い息を何度も繰り返しながら、強く抱きしめ合った。汗と、涙と、愛液と、精液の匂いが混ざり合う。外ではまだ、弱まった雨が世界を包んでいた。
どれくらい時間が経ったんだろう。
気がつくと、窓の外がうっすらと白み始めていた。
エレンは乱れた服を整え、隣で横たわるミカサの横顔を盗み見る。彼女の頬には涙の跡が残っていたけど、その唇は微かに緩んで、笑っているようにも見えた。
「……ミカサ」
声をかけると、彼女はゆっくりと起き上がり、無言のまま服を着始める。いつもの無表情なのに、耳の先だけがほんのりと赤い。その姿を見て、エレンの胸がまた熱くなった。
二人は並んで、夜明けの森を歩いた。雨はすっかり上がり、木々の間から朝日が差し込んでいる。地面はぬかるみ、歩きにくい。でも、なんだか世界の色が昨日より鮮やかに見える気がした。
兵舎の門をくぐると、徹夜で心配していたらしいコニーが飛んできた。
「[shouted]エレン!ミカサ!お前ら生きてたのか!」
「[serious]悪い。雨宿りしてた」
エレンが簡潔に言うと、コニーはホッとした表情を見せた。でも、彼はすぐにキョトンとして、エレンの顔とミカサの顔を見比べる。
「[surprised]なんか……ふたりとも、雰囲気ちがくね?」
「[sarcastic]気のせいだろ」
笑ってごまかしたけど、心臓がバクバクいってる。ミカサはいつも通り無表情だけど、やっぱり耳の先が赤い。
――秘密が、できた。
兵舎の廊下を歩きながら、エレンは静かにそう実感した。自分とミカサだけが共有する、誰にも言えない秘密。
でも、調査兵団では規律がすべてだ。こんなことがバレたら、どんな罰が下るかわからない。それに、明日からは本格的な壁外調査の準備が始まる。仲間たちの目もある。
この熱を、俺たちは隠し通せるんだろうか。
エレンは小さく息を吐き、自分の右手をじっと見つめた。さっきまで、彼女の肌に触れていたこの手。
胸の奥に燃える火種は、今、静かに勢いを増していた。
――壁外調査まで、あと三日。