壁の裏側、ふたりだけの体温
調査兵団のエレン・イェーガーと幼なじみのミカサ・アッカーマンは、巨人への復讐を誓う兵士である。ある夜、訓練遠征からの帰路で激しい雷雨に見舞われた二人は、森の奥深くにひっそりと佇む古びた小屋を見つける。ずぶ濡れで震えながら、人目から完全に隔絶された空間で、互いの体温を分け合うように身を寄せ合う。その瞬間、幼い頃から続く清廉な絆は砕け散る。エレンの無骨な手が凍えたミカサの身体を抱き寄せ、彼女の秘め続けた想いが涙とともに溢れ出し、二人は初めての激しい夜を貪り合う。
それは、二人だけの秘密となった。壁の外では巨人を屠り、壁の中ではただの幼なじみとして振る舞う。しかし、盗み合うような激しい肉欲の時間は、脆く危険な均衡の上に成り立っていた。
転機は、壁外調査任務の最中に訪れる。ミカサが深手を負ったのだ。彼女を失う恐怖に直面したエレンは、かつてない凶暴性をもって巨人へと変貌する。血の海の中で最後の一匹まで巨人を惨殺し、ミカサを死の淵から救い出す。
生還した二人は、秘密の関係に終止符を打つことを決意する。もう隠し立てはしない、と。しかし、そう決意したまさにその時、憲兵団のアニ・レオンハートが冷や
壁の裏側、ふたりだけの体温 - 出陣前夜の誓い —— 秘密は壁より高く
副長グンタの言葉が、まだ耳の奥にこびりついていた。
訓練場の土を踏みしめるたび、あの冷たい声が頭の中で繰り返される。
「——戦場で一人を庇って陣形を崩す奴は、その一人ごと巨人の腹に入る」
午前中の選抜試験。立体機動装置を使った模擬戦で、エレン・イェーガーは誰よりも速くうなじ標的を斬り、正式メンバーに選ばれた。ガス推進器の噴射音、ワイヤーの軋み、そして超硬質鋼製の刃が模擬標的をえぐる快感。全てが完璧だった。ミカサ・アッカーマンもまた、冷静な陣形判断で高評価を受け、二人は揃って壁外調査のメンバー入りを果たした。
だが。
試験中、ミカサが模擬の奇行種役の兵士に囲まれた瞬間、エレンは持ち場を捨てて突っ込んだ。彼女の細い体が、訓練用の布製巨人模型に押しつぶされそうになるのを見た時、頭が真っ白になった。気がつけば、陣形を無視してワイヤーを射出し、空を駆けていた。標的を斬り伏せ、彼女の前に着地した時、訓練場全体が凍りついたのを覚えている。
グンタはその場で訓練を止め、全員の前でエレンを名指しこそしなかったが、明らかに彼を見ながら言い放った。白髪交じりの無骨な戦士の目は、失望と怒りにぎらついていた。
「戦場で恋人を庇う奴は、二人まとめて死ぬ」
その言葉が、胸の奥でずっとくすぶっている。
夕方、装備整備の時間になっても、エレンはミカサと目を合わせられなかった。立体機動装置のワイヤーを巻き直しながら、彼女の黒くて長いストレートの髪が視界に入るたび、わざと別の仲間の方へ体を向けた。コニーと話すふりをして、笑い声を上げるふりをして——でも、心臓はバクバクと嫌な音を立てていた。
「[laughing]エレン、今日のお前、なんか変だぞ?」
「[serious]うるせえ。気のせいだ」
コニー・スプリンガーが、剃り込みの入った坊主頭をかきながら首をかしげる。いつものムードメーカーは、何かを感じ取ったようだったが、それ以上は追及しなかった。
でも、他のやつは違った。
ジャン・キルシュタインだ。同期の中でも特に勘が鋭く、無駄に観察力がある。彼はエレンの態度の変化と、ミカサが何度もエレンの背中を見つめていることに気づいた。整備台の陰で、ジャンがコニーに耳打ちする。
「[whispers]あいつら、やっぱり何かあるだろ」
「[surprised]え? エレンとミカサが?」
「[cold]試験中の動きを見たろ。陣形無視して真っ先にミカサのとこに飛んでった。普通じゃねえ」
コニーは半信半疑だったが、その会話を近くにいた別の仲間二人も聞いてしまった。夕食の場で、噂は静かに、しかし確実に広がる。兵舎の食堂、名物の羊肉シチューの湯気が立ち込める中、エレンとミカサは別々のテーブルで食事を取っていた。その不自然さが、噂をさらに強化する。
エレンは味のしないシチューをスプーンでかき回しながら、考えていた。
(グンタ副長の言う通りだ。俺がミカサを庇えば、陣形が崩れる。そうなれば、他の仲間も死ぬ。最悪、俺もミカサも死ぬ。だから——距離を置くべきだ)
頭では分かっていた。でも、胸の奥が引き裂かれそうに痛む。
深夜。エレンが一人で自室に戻ると、窓が音もなく開いた。月明かりを背に、黒いシルエットが滑り込んでくる。ミカサだ。彼女は足音一つ立てずにエレンの前に立ち、碧色の瞳で彼をまっすぐ見据えた。その目は、冷たく澄んでいるのに、奥で青い炎が揺れている。
「[cold]離れている理由を教えてください」
声はいつも通り淡々としていたが、エレンには分かる。彼女は怒っている。
「[angry]理由なんてねえよ」
「[angry]嘘です」
彼女はエレンの胸倉を掴み、壁に押しつけた。細い指に宿る力が、本気の怒りを伝えてくる。
「[crying]明日、死ぬかもしれないのに——なぜ今夜だけ逃げるんです?」
声が、震えていた。普段は冷静沈着な彼女が、初めて見せる感情のひび割れ。
エレンの中で、何かが弾けた。
「[angry]お前のことを庇って陣形を崩したんだ! 俺のせいでお前が死んだら、俺は終わりだ! だから距離を置こうとした!」
叫ぶように吐き出した。荒い息が、静かな部屋に響く。
ミカサはしばらく黙り、それからエレンの手を取った。そして、自分の胸に当てる。制服の上からでも分かる、彼女の心臓の音。ドクン、ドクンと、それは信じられないくらい早く、そして熱かった。
「[whispers]私が怖いのは、あなたに触れられない夜です」
低く、絞り出すような声。彼女の碧い瞳が、今にもこぼれそうな涙を必死にこらえている。
エレンの中で、理性が音を立てて崩れた。
彼は彼女の細い腰に腕を回し、強く引き寄せた。唇を重ねる。最初は優しく、でもすぐに激しく、貪るような口づけになった。ミカサの舌が彼の口の中に入り込み、互いの熱を確かめ合う。彼女の吐息が、エレンの鼻腔をくすぐった。
もつれ合うようにベッドへ倒れ込み、互いの服を剥ぎ取る。彼女の白くて小さな乳房が月明かりに照らされ、その頂点にある淡いピンク色の乳首が固く尖っていた。エレンはその片方に唇を寄せ、舌先で転がす。
「[whispers]あっ……エレン……」
彼女の背中が弓なりにしなる。彼女の細い指が、エレンの黒い短髪を必死に掴む。エレンはもう片方の乳首も指の腹で優しくこねながら、唇を下へと這わせた。鎖骨、胸の谷間、平らな腹部——彼女の全身が、彼の唇が触れるたびに震える。
彼女の最後の布地を取り去ると、そこはもうとろりと熱い蜜であふれていた。彼はそのぬめりを指で掬い、彼女の秘所を何度もなぞる。クリトリスを指の腹で転がすと、彼女の腰が跳ね、甘い吐息が漏れた。
「[whispers]エレン……もう、入れて……」
懇願するような声に、エレンのペニスは痛いほど硬くそそり立っていた。彼は彼女の細い両脚を広げ、濡れそぼった膣口に亀頭をあてがう。熱くて狭い入り口が、彼を飲み込もうとひくひくと震えている。
一気に奥まで突き込んだ。
「ああぁっ……!!」
彼女のヴァギナが、エレンのペニス全体をきつく締め付ける。愛液が結合部からあふれ出し、シーツに染みを作った。
エレンは腰を動かし始める。最初はゆっくりと、彼女の内部の熱さと狭さを確かめるように。次第に動きを速め、激しくピストン運動を繰り返した。腰を打ちつけるたびに、ぐちゅっ、ぐちゅっと卑猥な水音が部屋に響く。
「あっ、あっ、ああっ……! エレン……!」
ミカサは声を抑えようと自分の手の甲を噛みながら、エレンの律動に合わせて腰をくねらせる。エレンは彼女の脚を高く持ち上げ、さらに深く突き入れた。ペニスの先端が彼女の子宮口にキスをするたび、彼女は小さく悲鳴を上げて絶頂に達する。
彼は彼女の体を反転させ、バックの体勢で後ろから貫いた。彼女の黒くて長い髪が汗で背中に張り付き、白い肌を這う水滴が月明かりにきらめく。尻を掴みながら、さらに激しく腰を打ちつける。
「[crying]エレン、私、もう……イく、イっちゃう……!!」
「[angry]俺もだ……出すぞ、ミカサ!!」
極限まで高まった快感に耐えきれず、エレンは彼女の最奥にペニスを押し込んだまま、ドクドクと白濁の精液を吐き出した。熱いザーメンが彼女の子宮に注ぎ込まれる感覚に、ミカサもまた、全身を痙攣させながら連続して絶頂に達した。ビクビク、と彼女の全身が震え、膣壁がエレンをきつく締め上げ、最後の一滴まで搾り取ろうとする。
「あ……あああぁ……っ」
二人は荒い息を何度も繰り返しながら、強く抱きしめ合った。汗と、愛液と、精液の匂いが混ざり合い、密室を満たしていく。
どれくらい時間が経っただろうか。息が落ち着いてから、ミカサはエレンの胸に頬を乗せ、彼の心臓の音を聞きながら静かに言葉を紡いだ。
「[whispers]もし……私が死んでも、あなたは生きて」
エレンの胸に額を押しつけて、彼女は目を閉じる。
「[angry]そういうことは絶対言うな。俺が絶対守る——絶対だ」
彼は彼女の黒い髪を両手で包みながら、強く誓った。
夜明け直前、ミカサはエレンの部屋から出た。廊下には人影がなく、静寂だけが支配している。彼女はいつもの無表情で自室へと歩き去った。しかし、角を曲がった先で——トイレ帰りのジャン・キルシュタインが、その姿を目撃してしまう。
ジャンはミカサの出てきた部屋の扉を確認し、顔を強張らせた。エレンの部屋だ。
「[whispers]やっぱりか……」
翌朝の出陣集合。全員が立体機動装置を装着し、馬に乗り込む準備を整える。調査兵団本部の門前には、約三十名の選抜メンバーが集結していた。朝日が壁の向こうから差し込み、兵士たちの影を長く伸ばす。
ジャンはエレンに近づき、小声で告げた。
「[cold]エレン……あとで話がある」
その目の険しさに、エレンの背筋が冷たくなる。だが、その時——
「全員、騎乗!! 出陣する!!」
副長の号令が訓練場に響き渡った。ジャンは言いかけた言葉を飲み込み、自分の馬へと駆け出す。エレンもまた、隣に並ぶミカサと一瞬だけ目を合わせ、無言で頷き合った。
馬蹄の音が大地を揺らし、壁外調査の隊列がゆっくりと動き出す。壁の巨大な門が、ギギギと重い音を立てて開いていく。その先は巨人の這い回る死の領域。
エレンは前を向く。だが、心の奥底で一つの不安が渦巻いていた。ジャンは何を言おうとしている? もし、俺たちの秘密を隊長格に報告するつもりなら——この調査中に、何が起こるか分からない。
壁外への門をくぐりながら、エレンは手綱を握る拳に力を込めた。隣を走るミカサの碧い瞳が、彼をじっと見つめる。彼女もまた、何かを感じ取っているようだった。
巨人との戦いと、人間同士の醜い争い。その両方が、今まさに幕を開けようとしていた。