もし、キルヒアイスが生きていたら~銀河英雄伝説IF~
巨大な宇宙戦艦が光の矢を放つ遠未来の銀河――ラインハルト・フォン・ミューゼルは、残酷な陰謀によって親友キルヒアイスを失おうとしていた。しかし、運命のその日、キルヒアイスは奇跡的に生還する。
「無事でよかった……!」
涙の再会もつかの間、ラインハルトの周囲で異変が起こり始める。貴族たちの間で囁かれる不穏な噂、銀河を揺るがす大戦の幕開け、そして何より、姉アンネローゼに暗殺の魔の手が迫っているかもしれないという衝撃の事実! 野望と権力が星々のように激突する中、ラインハルトはキルヒアイスと共に巨大な敵へ立ち向かわねばならない。
だが、真実に近づくほど、二人は巧妙に仕組まれた死の罠へと深く堕ちていく……。果たしてラインハルトの運命は? そして、二人の友情は最後まで輝き続けるのか? 胸躍る、感動の銀河スペクタクル、ここに開幕!
もし、キルヒアイスが生きていたら~銀河英雄伝説IF~ - よみがえる絆、迫る陰謀の影
【称号:《生存》を確認】
【固有スキル《不屈の忠誠》が再起動しました】
【戦術リンク《ラインハルト&キルヒアイス》の接続強度が400%に跳ね上がっています】
——ロイテンベルク星系での戦勝から三日。
前線基地イゼルローン要塞の第五軍用ドックは、いつもと変わらぬ喧騒に包まれていた。整備兵たちの怒号、溶接機の火花、燃料パイプを引きずる無骨な作業用メックの駆動音。薄汚れた空気にコーヒーと潤滑油の匂いが混ざり、天井近くのキャットウォークでは、退屈そうな警備兵があくびを噛み殺している。
ラインハルト・フォン・ミューゼルは、そのドックを見下ろす管制室で、端末に映る補給リストを睨んでいた。漆黒の軍服。左胸には姉からもらった銀のブローチ。燃えるような黄金の髪が、空調の風に微かに揺れる。
「……紅茶が切れている」
「は?」
新任の副官カルテンボルン中佐は、思わず素っ頓狂な声を出した。補給リスト? 弾薬でも燃料でもなく?
「アッサムが、もうストックにない」
ラインハルトの声は真剣そのものだった。蒼い瞳が、まるで敵艦隊の布陣でも分析するような厳しさで、物資データをなぞっていく。「キルヒアイスが帝都から取り寄せてくれる手筈だったんだがな」
「キ、キルヒアイス副官ですか……」
帝都。
たったの数週間前、軍務省の廊下で副官が撃たれた。至近距離からのレーザー銃。犯人はその場で射殺され、背後関係はまだ闇の中だ。キルヒアイスは帝都中央病院の再生医療区画で三週間の昏睡状態に陥り、奇跡的に一命をとりとめた。
「それだけではありません、上級大将」
通信士官の硬い声が、管制室の空気を変えた。
「先ほど帝都軍務省から入電。ロイテンベルク戦勝に伴う特別補給船団——弾薬、糧食、医療品を満載した輸送船七隻が、貴族特権法第三条に基づき、帝国補給局に差し押さえられました」
管制室の誰もが、息を止めた。
貴族特権法。四百年前に制定された、大貴族たちが私兵を保有し、所領で独自の裁判権を振るい、そして——戦時物資の優先分配権すら持つという、腐敗した帝国の骨格そのものだ。
「理由は」
ラインハルトの声は、氷のように冷たかった。
「『辺境艦隊への補給より、帝都防衛を優先すべき』——補給局長、シュトラール伯爵の名で通達がありました」
「ふん」
ラインハルトは短く鼻を鳴らした。シュトラール伯爵。ゼークヴァルト門閥同盟の構成員で、クラウゼヴィッツ公爵の腰巾着だ。先日のキルヒアイス狙撃事件——あれも、この貴族連合の仕業で間違いあるまい。
「軍務省には抗議したのか」
「しましたが……『上級大将の権限では補給局の決定を覆せない』の一点張りで」
ラインハルトの指が、コンソールの縁を叩いた。
(上級大将の権限では、か)
階級だけは高い。二十代前半で帝国軍の将官第二位——しかし所詮は下級貴族の出だ。門閥の血筋でもなければ、領地も私兵も持たない。あの連中にとって、俺はただの「成り上がりの小僧」に過ぎない。
そして——姉を奪われた子供のままだ。
「……補給なしで、あとどれだけ持つ」
「糧食はあと十日。医療品はほぼ底。弾薬は大規模戦闘がなければ一ヶ月」
管制室に、重い沈黙が落ちた。
その時だった。
「——上級大将! 第五ドックに高速軍用艇が! 識別信号は……キルヒアイス副官の専用艇です!」
ラインハルトの蒼い瞳が、大きく見開かれた。
「なに……?」
一瞬、彼の顔から「提督」の仮面が剥がれ落ちた。そこにいたのは、親友の名を聞いただけで感情を隠しきれなくなる、ただの二十歳の若者だった。
彼は走り出した。管制室の扉を蹴るように押し開け、階段を三段飛ばしで駆け下りる。カルテンボルンが慌てて後を追う。
「ていとく! お待ちください! ていと——」
ドックの重い防爆扉が、ゆっくりと開く。
戦闘で傷ついた高速軍用艇が、蒸気と火花を撒き散らしながら滑り込んできた。機体のあちこちがへこみ、左舷の装甲は溶接跡だらけだ。
タラップが降りる。
出てきたのは——
「……キルヒアイス」
包帯姿だった。
深紅の髪は乱れ、軍服の下からは左胸に巻かれた分厚い包帯がのぞいている。顔色は紙のように白く、唇にはわずかに血が滲んでいた。
それでも、ジークフリード・キルヒアイスは自分の足で立っていた。
温かみのある深い緑色の瞳が、ゆっくりとラインハルトを捉える。
「やあ、ラインハルト。迎えに来てくれたのかい」
その声は、昔と変わらない優しい響きだった。
ラインハルトは駆け寄った。
怒鳴ろうとした。なぜ勝手に動くんだ、傷はどうした、医者はなんと言った、まだ動いていい体じゃないはずだと——
「……バカ野郎がっ!!」
声が震えた。
叱責の言葉は、喉の奥で涙に変わった。ラインハルトは周囲の目も気にせず、キルヒアイスの肩に顔を埋める。軍服の肩布が、ぐしゃりと握りしめられた。
「……死んだかと思ったんだぞ」
絞り出すような声だった。
「私はここにいるよ、ラインハルト」
キルヒアイスはそっと、ラインハルトの背に手を添えた。子供をあやすような、穏やかな仕草だった。
「上級大将がそんな顔をしてはいけない。兵士たちが見ている」
「……見せてやれ」
ラインハルトは顔を上げずに言った。声はまだ震えている。
「お前に何かあったら、俺は——俺は、こんな階級も、艦隊も、全部どうでもいい」
ドックの作業員も、警備兵も、カルテンボルンも、誰もが言葉をなくしてその光景を見つめていた。
金髪の死神。冷徹無比の天才戦術家。二十代前半で上級大将にまで上り詰めた野心家。
その男が今、一人の親友の肩に顔を埋めて、子供のように震えている。
「ラインハルト」
キルヒアイスは静かに言った。
「私は大丈夫だよ。それよりも——何かあったのかい? 君の顔は、さっきまで怒りに燃えていたみたいだけれど」
ラインハルトはゆっくりと顔を上げた。
蒼い瞳の奥で、冷たい炎が揺れている。
「……来い。執務室で話す」
---
執務室の天井灯が、かすかに唸りを上げている。
大型モニターには、差し押さえられた補給物資のリストが無機質に並んでいた。食料、医薬品、弾薬——そのすべての項目に、「帝都補給局留保」の赤いスタンプが押されている。
「なるほど。貴族特権法か」
キルヒアイスは、痛む左胸を押さえながら、静かにモニターを見つめていた。深紅の髪が、包帯の白さをより際立たせている。
「彼らは本気で我々を潰すつもりだ。暗殺が失敗したから、今度は飢え死にを狙っている」
「軍務省は?」
「お前を撃った犯人が現場で射殺されて、捜査は進展ゼロだ。それと同じ連中が補給局を牛耳っている。抗議など無駄だ——そう言ってきた」
ラインハルトはコツン、と机を指で叩いた。
「もういい。俺が単身で帝都に戻る。貴族たちと直談判だ」
「やめておきたまえ、ラインハルト」
キルヒアイスの声が、わずかに強くなった。
「君が帝都に戻ったら、今度こそ奴らは君を殺す。食堂の毒、廊下の狙撃、あるいは事故に見せかけてエアロックから放り出す。やり方はいくらでもある」
「じゃあどうしろというんだ! このまま何もできずに、艦隊の兵士たちが飢えるのを見ていろと——」
ラインハルトが立ち上がった瞬間、キルヒアイスの手が彼の腕を掴んだ。
その手は、震えていた。
「……やめてくれ、ラインハルト」
キルヒアイスの額に、冷や汗が浮かんでいる。傷が疼いているのだ。唇から血の気が引き、深緑の瞳が苦痛に細められる。
「もし、君を失ったら——私は、今回は何のために撃たれたのかわからなくなる」
「……キルヒアイス」
「あなた一人を死なせるくらいなら、私は何度でも銃弾を受ける。そのほうが……ずっと、いい」
ラインハルトは動きを止めた。
胸の奥が、ぎゅっと掴まれたように痛んだ。
(この男は——いつもそうだ)
自分の命を、あまりにも軽く扱う。それが、ラインハルトにはたまらなく腹立たしく、そして——悲しかった。
「……すまない、キルヒアイス。俺はまた、無茶を言おうとしていた」
ラインハルトはゆっくりと腰を下ろした。自分を落ち着かせるように、深く息を吐く。
「約束しろ、ラインハルト」
キルヒアイスが、真っ直ぐに彼の目を見つめた。
「二度と、無茶はしない。私も、君もだ。私たちは——二人で戦うんだ」
「……ああ。約束する」
ラインハルトは小さく頷いた。
その時だった。
艦内放送が、緊急を告げる警報音を鳴らした。
『——第五区画の糧食庫にて、下級兵士による配給暴動発生! 警備兵、至急対応されたし!』
ラインハルトとキルヒアイスは同時に顔を上げた。
補給物資の差し押さえ——その影響が、もう末端の兵士たちにまで達している。
「行くぞ、キルヒアイス」
二人は執務室を飛び出した。
---
糧食庫の前は、異様な空気に包まれていた。
配給を待つ兵士たちの列が、ざわざわと不穏に蠢いている。ある者は拳を握りしめ、ある者は疲れ切った顔で床に座り込み、ある者は警備兵に詰め寄って怒鳴っていた。
「这他妈的算怎么回事! 今日の配給、量が半分以下だぞ!」
「聞いたぜ……補給船団が全部止められたってな」
「俺たちは見捨てられたのか!?」
荒っぽい怒声が飛び交う中、一人の若い兵士が呟いた。
「……もうダメだ。こんな艦隊、見捨てられて当然だ」
その声は絶望に染まっていて、周囲の兵士たちの士気を目に見えて萎えさせた。
そこへ——
「全員、その場に止まれ!!」
ラインハルトの声が、糧食庫に響き渡った。
騒然としていた兵士たちが、一瞬で凍りつく。騒ぎを聞きつけて集まっていた百人近い兵士たち全員の視線が、黄金の髪を揺らして立つ若き提督に釘付けになった。
氷のように冷たく燃える蒼い瞳。
ただ立っているだけで、空気の密度が変わる。
「貴様ら、今の状況を誰のせいだと思っている」
沈黙。
「腐敗した貴族のせいか? そうだ。見当違いではない。補給物資は奴らが差し押さえた。我々を前線で干上がらせようとしている——それも、間違いではない」
ラインハルトは一歩、兵士たちの列に踏み込んだ。人垣がさっと割れる。
「だが——そんな連中に『見捨てられた』と呟いて座り込むお前たちも、同罪だ」
若い兵士が、びくりと肩を震わせた。
「いいか、よく聞け。俺はお前たちを見捨てない。絶対にだ。貴族の圧力ごときで、俺の艦隊を飢え死にさせると思うな」
ラインハルトは拳を握りしめ、兵士たちに言い放った。
「貴様らが握るべきは、食い物を乞う手じゃない——武器だ。艦隊の士気を萎えさせる者は、たとえ貴族でも敵でも、このラインハルト・フォン・ミューゼルが許さん」
静寂。
だが——先ほどまでの絶望的な空気が、ほんの少しだけ、変わった。
兵士たちの目に、ぽつり、ぽつりと、暗い炎が灯り始める。
その時だった。
「——諸君、聞いてほしい」
キルヒアイスが、そっと前に進み出た。
包帯姿で、冷や汗を浮かべながらも、彼は真っ直ぐに立っていた。
「私はつい先日、帝都で何者かに撃たれた。心臓を狙った至近距離からの狙撃だ。犯人は、我々を潰そうとしている勢力——そう、補給物資を奪ったのと同じ者たちの差し金だ」
兵士たちの間に、どよめきが走った。
「でも、私は生きている。こうして皆の前に立てている。なぜだと思う?」
誰も答えない。
キルヒアイスは、深緑の瞳で兵士たちを見渡した。その眼差しは、昔と変わらない温かさに満ちていた。
「それは——私たちには、まだ戦いが残っているからだ」
彼は、そっと左胸の包帯に手を当てた。
「この傷は、決して無駄じゃなかった。ラインハルト提督を守れたからだ。そして君たちも——無駄じゃない。この艦隊の一兵卒までが、この腐った帝国を変えるための、かけがえのない力だ」
キルヒアイスは、優しく微笑んだ。
「大丈夫だ。私たちは絶対に、君たちを見捨てない。だから——もう少しだけ、一緒に戦ってほしい」
ぽつん。
誰かが、涙を拭った。
ぽつん、ぽつん。
「……提督」「副官」「すまなかった」
兵士たちの目から、絶望が少しずつ消えていく。代わりに、ぐっと奥歯を噛みしめる決意が広がっていった。
ラインハルトはキルヒアイスを見た。キルヒアイスは、蒼白い顔で微笑み返した。
「……無茶をするな、お前こそ」
「君にだけは言われたくないな」
二人は、ほんの少しだけ笑い合った。
---
夜。
執務室の照明が落とされ、大型モニターだけが青白い光を放っている。部屋には、ラインハルトとキルヒアイスの二人だけが残っていた。
机の上には、帝都から取り寄せたという茶葉の小さな缶が置かれている。キルヒアイスが、そっとカップを差し出した。
「アッサムだよ。85度、蒸らし時間は3分。ミルクも、君好みの量にしておいた」
「……お前がいてくれて、よかった」
ラインハルトはカップを受け取り、一口含んだ。完璧な味だった。
「なあ、キルヒアイス。もう一度だけ、詳しく聞かせてくれ。お前を撃った銃のことを」
キルヒアイスは、静かに頷いた。
「短距離レーザー銃だった。至近距離から、心臓を狙った正確な射撃だ。ただ——使用された銃が、帝国軍の正式装備じゃなかった」
「どういうことだ」
「ディルクシュナイダー秘密情報局の改造銃だ。通常のレーザー銃よりビーム収束率が高く、防弾チョッキも貫通する。あれは——暗殺専用の武器だ」
ディルクシュナイダー秘密情報局。表向きには存在しない、帝国の非合法諜報機関。暗殺、情報操作、政敵排除を専門とする影の組織。帝都オスティアーデの地下深くに本部を構え、誰が最終的な指揮権を持つかすら謎に包まれている。
「なるほどな。それで確信した」
ラインハルトの蒼い瞳が、冷たく燃えた。
「あの狙撃は単なる暗殺未遂じゃない。補給物資の差し押さえも、ただの嫌がらせじゃない。これは——奴らが我々の艦隊ごと、存在ごと潰すための、組織的な攻撃の第一段階だ」
「黒幕は?」
キルヒアイスの声が、低くなった。ラインハルトを傷つけようとする者への、静かな怒りが込められている。
ラインハルトは、モニターに地図を呼び出した。帝都周辺の星図に、三十の赤い点が瞬く。
「ゼークヴァルト門閥同盟。クラウゼヴィッツ公爵を盟主とする、三十の名門貴族家連合体だ。私兵艦隊を合わせれば四万隻。奴らは、俺という『成り上がりの脅威』を排除し、旧来の貴族支配を永遠に維持しようとしている」
「……補給局のシュトラール伯爵も、その一員か」
「ああ。そして、ディルクシュナイダーを動かせるだけの権力を持っている。つまり——」
「アンネローゼ様も、危ないかもしれない」
執務室の空気が、張り詰めた。
アンネローゼ。ラインハルトの最愛の姉。十一年前、その美貌ゆえに皇帝の後宮に召し上げられた。門閥貴族たちにとっては、彼女もまた「下級貴族から皇帝の寵姫に成り上がった」忌々しい存在だ。
「……ああ。だからこそ、俺は負けられない」
ラインハルトは、テーブルに広げた星図を睨んだ。
「だが——正面からぶつかっても、権力の壁には勝てない。今回はそれがよくわかった。軍務省すら、門閥の息がかかっている」
「では、どうするんだい」
キルヒアイスの問いに、ラインハルトはほんの少しだけ口元を歪めた。それは笑みだったが、まったく笑っていない、氷のような表情だった。
「反撃の一手を、密かに練り始めている。補給物資を差し押さえたのなら、別の場所から奪えばいい。貴族が権力で潰そうとするなら、俺は戦術で切り崩す。戦場の常套手段だ——正面から当たれない敵は、横腹を突く」
彼は、地図の一点を指でトンと叩いた。
ガイエスハーケン星域。帝国辺境の資源採掘宙域。希少金属「リグニウム合金」の産地。戦艦の装甲に不可欠な戦略物資の供給源であり、海賊や密輸業者の巣窟でもあった。
「ここに、門閥同盟の私掠船団がいるという情報を掴んだ。クラウゼヴィッツ公爵の非公式な資金源の一つだ。補給物資がないなら——こいつらから奪えばいい」
「……海賊狩りか。しかし、それは——」
「違法だ。上級大将の越権行為だ。わかっている。だが、俺の艦隊を守るためなら、法の一つや二つ、破ってみせるさ」
キルヒアイスはしばし沈黙し、やがて小さく息を吐いた。
「……一緒に戦うと約束したばかりだ。今回ばかりは止めないよ」
「ありがとう、キルヒアイス」
ラインハルトは静かに言った。
「お前がいてくれて、本当によかった」
二人は、しばし無言で星図を見つめていた。
艦隊を潰そうとする門閥。補給を断つ腐敗貴族。帝都にいる姉への脅威。キルヒアイスを瀕死に追い込んだディルクシュナイダーの影——。
だが、今はもう、ラインハルトの目に迷いはなかった。
「やれるだけのことをやる。そして必ず——この腐敗した帝国を、俺たちの手で再編する」
漆黒の軍服を翻し、ラインハルトは窓の外の無数の星々を睨み据えた。
その蒼い瞳の奥で、静かなる野心の炎が、音もなく燃え続けていた。Noveliaとは?
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