【貞操逆転】おっさん高校生ユキ、モテすぎて困ってます!
【貞操逆転】おっさん高校生ユキ、モテすぎて困ってます!
37歳独身のおっさん、ユキが目を覚ますと、そこはパラレルワールド!しかも、自分と同じ名前の、ちょっと気弱な男子高校生に憑依していた。
喜びもつかの間、彼はこの世界のトンデモなルールを知る。ここは男が極端に少ない「貞操逆転世界」。恋愛も含め、あらゆることに女性が積極的で当たり前なのだ!
高校で待ち受けていたのは、四人の個性的な女子たち。天然お嬢様で、いきなり告白してくる白鳥美桜。本のことになると人が変わったように大胆になる、内気な図書委員の橘静香。誰もが恐れる先輩なのに、ユキの前ではデレデレの甘えん坊になる冴島凛。そして、パーソナルスペースという概念がゼロの、自由奔放なギャル南陽菜。彼女たちが、ユキに全力の恋愛猛攻撃を仕掛けてくる!
「こんなおっさんが、こんなにモテていいのか!?」と内心叫びつつ、大人の余裕でなんとか対応するユキ。しかし、このハーレム生活が平穏に続くはずもなく……。
はたしてユキは元の世界に戻れるのか、それとも、この逆転恋愛世界で人生最大の青春を謳歌するのか!?
【貞操逆転】おっさん高校生ユキ、モテすぎて困ってます! - 体育祭ユキ争奪戦!コクリ届宣言で三つ巴の修羅場爆誕
転入一週間後。コウヨウ学園のグラウンドは朝から熱気に包まれていた。体育祭の開会式が終わり、色とりどりのハチマキを巻いた生徒たちが種目ごとに散っていく。
ユキは本部テントの陰で、白紙のペア登録フォームを握りしめていた。
(どうする……これ、提出しないとダメなのか)
37歳の感覚で言えば、体育祭のペア登録なんてただの事務手続きだ。だがこの世界では違う。特に男子生徒にとっては——誰とペアを組むかで、その後の学園生活が大きく変わる。
「ユキ、見ーつけた!」
ゆるふわの茶髪ポニーテールを揺らし、陽菜が駆け寄ってくる。手には騎馬戦のエントリーシート。
「ちょっと待て、まだ登録してな——」
「してないのバレバレじゃん。そのフォーム、まっ白だし」
陽菜はユキの手から白紙のフォームを奪い取ると、自分のペンで名前欄に「南陽菜」と書き込んだ。
「はい、これでユキのペアは私に決まり!」
「おい、ちょっと待てって」
「待たない。だって昨日も一昨日も逃げたじゃん。今日こそ捕まえるからね」
陽菜は勝ち誇った笑顔で、ユキの袖をグイッと引っ張った。
騎馬戦の開始を告げる笛が鳴った。グラウンドにはすでに四つの騎馬が組まれ、騎手役の女子たちが肩車で乗り込んでいる。
「ユキ、しっかり支えてよ! あたし落ちたら死ぬからな!」
陽菜はひらりとユキの肩に飛び乗った。両腕をユキの首にがっちり絡め、耳元でささやく。
「こけたら、あたし死ぬからな」
若い体が反応する。耳が熱くなっていくのが自分でもわかる。陽菜の吐息が首筋にかかり、シャンプーの甘い香りが鼻をくすぐった。
「わ、わかったから、ちょっと離れてくれ」
「えー、なんで? 離れたら落ちちゃうかもよ?」
陽菜はますます腕を絡めてくる。ユキの耳が真っ赤になっているのを見て、陽菜が笑った。
「うわ、耳赤くなってんじゃん! ユキってそういうとこピュアなんだ?」
「うるさい! 集中しろ!」
結局、騎馬戦は陽菜の騎馬が圧勝。ユキは汗だくになりながら、陽菜を肩に乗せたままゴールラインを越えた。
次の種目は借り物競争。スタート地点に並んだ陽菜がくじを引き、読み上げる。
「えーと……『大人っぽい男子』!?」
周囲の女子たちが一斉に振り返り、ユキを指さした。
「陽菜、ユキくんでしょ!」「他にいないって!」
「はい、ユキ確定!」
陽菜はユキの手首を掴むと、そのまま走り出した。
「借り物って人間でいいのかよ」
「ルール上はOK! さっき確認した!」
二人が手をつないでゴールテープを切った瞬間、観客席から悲鳴のような歓声が上がった。
その様子を、校舎の窓から見つめている影が一つ。
美桜だった。
腰まであるストレートの金髪が、窓辺で揺れている。大きな青い瞳が、ゴールした二人の手のひらに釘付けになっていた。
「……わたくし、なにかすごく嫌な気持ちですわ」
美桜は胸元をぎゅっと押さえた。胸の奥が、じわりと熱くなる。今まで感じたことのない感情が、むくむくと膨らんでいく。
「これが……ヤキモチ、というものなのでしょうか」
隣にいたクラスメイトが、美桜の異変に気づく。
「美桜さん、どうしたの? 顔色が……」
「わたくし……出ますわ。パン食い競争に」
「え!? 美桜さん、運動はちょっと苦手じゃ……」
美桜は聞く耳を持たず、グラウンドへ駆け出した。ふんわりした制服のスカートが翻る。金髪が風に舞い、太陽に輝く。
パン食い競争の出走者募集アナウンスが流れると同時に、美桜はスタートラインに立った。
そこにはすでに陽菜がいる。
「え、白鳥さんも出んの? 珍しくない?」
「南さん、今日はよく動いてますわね。少しお休みになったらいかがですの?」
美桜は上品な微笑みのまま言った。しかし青い瞳の奥は、笑っていない。
「いやいや、まだまだ行けるし。白鳥さんこそ、パン取れるの?」
「もちろんですわ。負けませんわよ」
号砲が鳴った。
美桜は全力で走った——が、吊るされたパンを口でくわえるのが難しい。
「むぐっ……むぐぐっ……!?」
パンが跳ね回り、なかなか口に入らない。盛大にむせて、パンが飛んでいった。
「あはは! 白鳥さん、超ウケるんだけど!」
陽菜はあっさりパンをくわえてゴール。負けた美桜は、ほっぺたを真っ赤にして立ち尽くした。
「今のは準備不足ですわ。次は負けませんわ」
「いや次ないけど」
周囲の女子生徒たちがざわめき始める。
「美桜さん、絶対ユキくんのせいで出たよね」「完全に嫉妬じゃん」「こわっ……でもなんか笑える」
昼休み——
ユキは人気の少ない体育館裏の壁際で、ようやく一人になれたとほっと息をついた。体育祭の喧騒が遠くに聞こえる。
(疲れた……あいつら、すごいな)
目を閉じて、壁にもたれかかった。
——その時。
「あ、あの……ユキくん」
小さな声が聞こえ、ユキは目を開けた。
そこには、小柄な静香が立っていた。黒髪のおさげ、黒縁メガネの奥の切れ長の瞳が、潤んでいる。手には風呂敷包みを大事そうに抱え、その手が震えていた。
「シズカ? どうしたんだ」
「あの……今朝、早起きして……お、お弁当を……」
静香は風呂敷包みを差し出した。手が震えている。顔は耳まで真っ赤だ。
「よ、良かったら……食べてください……」
ユキは包みを受け取って開けた。中にはきれいに詰められた卵焼き、からあげ、ブロッコリー。白米の上には桜でんぶが散らしてある。
「ありがとう、嬉しい。早起きして作ってくれたのか?」
「……はい」
静香が俯く。メガネの奥の瞳が、うっすらと涙で光っている。
その瞬間——
「あ! ユキここにいた!」
体育館の角から、陽菜が顔をのぞかせた。手には購買のパン袋を持っている。
「あたしも一緒に昼メシ食おうと思って探してたんだけど……」
陽菜の視線が、静香の手作り弁当に吸い寄せられた。
「……え、シズカ、それユキに?」
「あ、あの、これは……」
さらにもう一人——
「ユキくん、お昼はご一緒できますかしら」
廊下側から美桜が現れた。手にはお嬢様らしい三段のランチボックスを持ち、にっこりと微笑んでいる。しかし、静香の弁当を見た瞬間、青い瞳がスッと細くなった。
三人がユキを中心に扇形に立つ。重い沈黙が数秒続いた。
「いや、あたしが先に探してたし?」
「わたくしのほうが先にユキくんにお声がけしてましたわよ」
「わ、私が……もう……渡してたし……」
三人の声が重なり、ユキの周囲で小さな口論が始まる。ユキは壁際に追い詰められ、完全に逃げ場を失っていた。
結局、ユキは静香の弁当を食べた。
「なんで!」
「わたくしのランチボックスも持ってきたのに……」
「先に渡してくれてたから……」
ユキの消え入りそうな声に、陽菜と美桜が同時に抗議し始める。静香は俯いたまま、耳まで真っ赤になっていた。
放課後——
体育祭が終わり、校舎には夕日が差し込んでいた。ユキのスマートフォンが震える。ウラガワ版メッセージアプリ「StellaPost」の通知——美桜からだ。
「ユキくん、2年C組の教室に来てほしいですわ。大事なお話がありますの」
ユキは冷や汗をかきながら、教室に向かった。
教室の扉を開けると、夕日に染まる室内に美桜が一人立っていた。長い金髪がオレンジ色に輝き、大きな青い瞳がユキを真っ直ぐに見つめる。
「ユキくん……今日の体育祭を見て、わたくしはっきりわかりましたわ」
美桜は一歩、ユキに近づいた。
「わたくし、ユキくんのことが誰よりも好きですわ。誰にも負けません。だから——」
美桜は胸の前で手を組み、深く息を吸った。
「コクリ届、出しますわ!」
「……!」
ユキの頭の中で、あの日の記憶がよぎる——美桜が公衆の面前でコクリ届を出すと宣言したあの日。あの時は美桜の母に止められたが、今度は違う。本気だ。
「美桜……でも……」
ユキが言葉を詰まらせたその瞬間——
バン!!
「ちょっと待ったァ!!」
教室のドアが勢いよく開いた。陽菜が仁王立ちで入ってくる。体育着のまま、ポニーテールが揺れている。
「体育祭であんだけ一緒にいといて、コクリ届は美桜が出すとかありえなくない!? あたしが先に話してたし!」
「南さん、コクリ届は早い者勝ちではありませんわ。気持ちの問題ですの」
「その気持ちってやつ、あたしだって負けてないし!」
「わたくしはユキくんが転入してきた初日から想っていますわ」
「日にちの問題じゃないでしょ!」
二人が一歩も引かない言い合いを始めたその時——
「……わ、私も……言わなきゃいけないことがあって」
静香が蒼白な顔で教室に入ってきた。手には栞を挟んだ小説を抱えている。
「シズカ……?」
「あ、あの、私も……ユキくんのこと……」
「は!? ちょっとシズカ、今それ言う!?」
「橘さんも、ユキくんのことをお好きですの?」
「……は、はい」
美桜が少しだけ眉をひそめた。陽菜が頭を抱える。静香は震えながらも、三人の輪の中に加わった。
三人がユキを中心に扇形に立ち、夕日が四人の影を長く伸ばす。
「あたしが先にコクリ届出すから!」
「わたくしが先に話していましたわ。それに家の保証人ももう準備していますの」
「私も……諦めたくないです」
声が重なり、誰が先か、誰の気持ちが本物か、誰がコクリ届を出す権利があるかで教室中に声が響き渡る。
ユキは壁際に追い詰められた。何かを言おうとするたびに——
「ユキは黙ってて!」
「そうですわ、ユキくんは後で」
「……ユキくんは座ってて」
全員に制止され、発言権を完全に剥奪される。
ユキは壁に背中を張り付けられ、額に冷や汗をかいていた。
(修羅場だ……これが、この世界の修羅場なのか)
37歳のおっさんが、高校生の体で三人の女子に囲まれ、完全に逃げ場を失う。目の前で繰り広げられる、本気の恋愛バトル。若い体の心臓が早鐘を打ち、頭は混乱で真っ白になりかける。
その時——
「ピンポンパンポーン」
教室のスピーカーから、校内放送が流れた。
「2年C組の椎名ユキくん、至急第一会議室まで来てください。繰り返します——」
三人の口論がぴたりと止まった。
「……呼ばれたから」
ユキは三人の間をすり抜け、教室のドアへと向かった。
廊下に出た瞬間——ユキは壁に背中を預け、天井を仰いだ。
「俺、どうしたらいいんだ……」
小さく呟いたその声は、夕暮れの廊下に消えていった。Noveliaとは?
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