【貞操逆転】おっさん高校生ユキ、モテすぎて困ってます!
【貞操逆転】おっさん高校生ユキ、モテすぎて困ってます!
37歳独身のおっさん、ユキが目を覚ますと、そこはパラレルワールド!しかも、自分と同じ名前の、ちょっと気弱な男子高校生に憑依していた。
喜びもつかの間、彼はこの世界のトンデモなルールを知る。ここは男が極端に少ない「貞操逆転世界」。恋愛も含め、あらゆることに女性が積極的で当たり前なのだ!
高校で待ち受けていたのは、四人の個性的な女子たち。天然お嬢様で、いきなり告白してくる白鳥美桜。本のことになると人が変わったように大胆になる、内気な図書委員の橘静香。誰もが恐れる先輩なのに、ユキの前ではデレデレの甘えん坊になる冴島凛。そして、パーソナルスペースという概念がゼロの、自由奔放なギャル南陽菜。彼女たちが、ユキに全力の恋愛猛攻撃を仕掛けてくる!
「こんなおっさんが、こんなにモテていいのか!?」と内心叫びつつ、大人の余裕でなんとか対応するユキ。しかし、このハーレム生活が平穏に続くはずもなく……。
はたしてユキは元の世界に戻れるのか、それとも、この逆転恋愛世界で人生最大の青春を謳歌するのか!?
【貞操逆転】おっさん高校生ユキ、モテすぎて困ってます! - 37歳の秘密、全部バレた。それでも好きって言われたおっさんの話
布団の中で、ユキは天井を見つめていた。
一睡もできなかった。
頭の中で、昨日の出来事がぐるぐると回り続ける。凛の涙。美桜の追及。自分の口から漏れた「元の世界」という言葉。
(全部、バレた)
目を閉じると、美桜の青い瞳が脳裏に焼き付いて離れない。体育館裏でのことだ。彼女の「それって……どういう意味ですの?」が、耳の奥で何度も繰り返される。
枕元のスマホが震えた。午前六時。
ユキは重い体を起こした。姿見に映る自分の顔には、はっきりとしたクマが刻まれている。十七歳の身体に、三十七歳の疲労がべったりと張り付いているようだった。
冷たい水で顔を洗っても、頭はぼんやりしたままだった。
登校する坂道で、海からの風が強く吹きつける。潮の匂いが鼻をくすぐった。いつもなら気持ちいいと感じる風も、今朝はただ冷たいだけだ。
正門の紅葉が、朝日に照らされて真っ赤に燃えている。美しい光景だった。だがユキの目には、それがまるで警告の色に見えた。
(やめろ、三十七にもなって、高校生の女の子にビビってどうする)
自分に言い聞かせながら、下駄箱で靴を履き替える。
教室の扉を開けた。
瞬間、金髪が視界の端で揺れた。
美桜が、ユキの席のすぐ横に立っていた。腰まであるストレートの金髪が、窓からの光を受けてきらきらと輝いている。大きな青い瞳が、ユキの顔を捉えて離さない。そして、その口元にはいつものふんわりした笑みが浮かんでいた。
「ユキくん、おはようございますわ」
美桜は一歩、ユキに近づいた。吐息が触れるほどの距離で、そっと耳打ちする。
「屋上に来てくださいますか。二人でお話したいことがありますの」
ユキの胃が、ぎゅうっと縮み上がった。
(——来た)
廊下を歩きながら、ユキは必死に考えを巡らせていた。
(屋上は凛先輩の縄張りじゃなかったか)
いや、今は朝だ。凛はまだ来ていないはず。
(それより、これ、完全にバレてるよな)
あの日の独り言。あんなもの、聞き間違いで済ませられるわけがない。
(落ち着け俺。俺は三十七歳だぞ。高校生の女子に動揺してどうする)
だが、十七歳の身体は正直だった。心臓がうるさいほど脈打っている。冷や汗が背中を伝う。制服の下で、シャツがじっとりと湿っていくのがわかった。
屋上への階段をのぼる。一段、また一段。
重たい鉄扉を押し開けると、青い空が目に飛び込んできた。
美桜は、海側の手すりに寄りかかって立っていた。
朝の光がその金髪を透かし、風がふわりとスカートの裾を揺らしている。その姿はあまりにも絵になりすぎていて。
(逃げたい)
ユキは本気でそう思った。
「ユキくん」
美桜が振り返る。大きな青い瞳が、まっすぐにユキを射抜いた。
「昨日から、ずっと考えてましたわ。体育館裏でユキくんが言った『元の世界』って言葉のこと——あれは、どういう意味ですの?」
静かな声だった。でも、その一言一言が、ユキの胸に刃のように刺さる。
ユキの頭の中で、必死に言い訳を組み立て始めた。
①夢の話をしていた。
——ダメだ。夢の話を体育館裏で泣きながら言う人間がいるか。
②ゲームのセリフを真似していた。
——無理だ。あの時の声のトーンは、明らかに本気だった。
③聞き間違いだ。
——美桜は耳がいい。一度聞いた言葉を聞き間違えるはずがない。
三連続で、防御壁は音を立てて崩れ去った。
沈黙が、屋上を支配する。
美桜が、ゆっくりと瞬きをした。長いまつげが、朝日に影を作る。
「ユキくん……わたくしのことが、信用できませんか?」
その声は、震えていた。
青い瞳が、うっすらと潤んでいく。
——その瞬間、ユキの中で何かがぷつんと切れた。
壁に背中を預けて、ユキは天を仰いだ。
「……俺、この体の本当の持ち主じゃないんだ」
掠れた声が、風に流されていく。
美桜は動かない。ただ、じっとユキを見つめている。
「元々は三十七歳で、全然別の世界の、しがないサラリーマンだった。気がついたら、この体で、この学校にいて……理由は、わからない」
言葉が止まらなかった。
まるで、長い間塞き止められていた水が、一気に溢れ出すように。
「引くよな。普通、こんな話、誰も信じない」
ユキは美桜から目を逸らした。
三十七歳のおっさんとしての、諦めにも似た自嘲が、胸の奥からせり上がってくる。
美桜が、完全に固まった。
「……三十七歳……おっさん……別の世界……」
小声で復唱しながら、五秒間、完全にフリーズする。
ユキは、言うべきだったと思った。
「やっぱ無理だよな。引いて——」
「引くとか、そういう問題じゃなくてですね!?」
美桜の叫びが、屋上に響き渡った。
大きな青い瞳から、涙がぼろぼろと溢れ出す。
「わたくし、体育祭の日も、初日にコクリ届を出すって言った時も——全部、全部、今のユキくんを好きになったんですわ!」
美桜は一歩、ユキに詰め寄った。涙が、朝日にキラキラと輝いている。
「おっさんでも、異世界から来た人でも、そんなの関係ありませんの! 今、わたくしの目の前にいるユキくんが、わたくしの大好きな人ですの!!」
ユキの思考が、完全に停止した。
三十七年生きてきて、女の子に泣かれながら告白される日が来るとは。
ラノベの展開じゃないか。
でも、十七歳の身体は、裏切り者だった。心臓が早鐘を打ち、耳の先が熱くなっていく。大人の理性がストップをかけようとするほど、身体は正直に反応している。
「……ありがとう」
やっとの思いで絞り出した声は、自分でも情けなくなるほど、か細かった。
美桜が、ユキの手を両手でそっと包み込む。
「もし、いつか元の世界に帰りたいと思ったなら——それまでの間、わたくしが、ずっと隣にいますわ」
吐息が、ユキの唇に触れそうな距離で囁かれる。
十七歳の身体の体温が、一気に跳ね上がった。
——ガタッ。
屋上の扉の方から、小さな物音がした。
ユキと美桜が、同時に振り返る。
「……え、マジか」
「……三十七歳……本の話が合ったの、そのせい……」
「……同じ匂いがすると思ったら、そういうことか」
扉の陰から、陽菜、静香、凛の三人が、それぞれ別のタイミングで顔を出していた。
「聞こえてたのか!?」
ユキの初めての怒声に、三人が一斉にバツの悪そうな顔をする。
「い、いや! あたしはたまたまここに来ただけで、立ち聞きとかじゃないから!」
陽菜が、ぶんぶんと手を振りながら早口で捲し立てる。
「わ、私も、本を返しに来たら……うっかり……」
静香は耳まで真っ赤にして、俯いている。
「……偶然だ。俺はいつもここにいる」
凛はぷいっと顔を背けたが、その耳はほんのりと赤い。
「偶然が三人も重なるか!!」
ユキのツッコミが、澄んだ朝の空気を切り裂いた。
陽菜が、咳払いを一つして、ユキに歩み寄る。
「てかさ、どうりで大人っぽかったわけじゃん! 三十七歳のおっさんだったとか、むしろ納得だわ!」
陽菜は、ユキの肩をバシバシと叩いた。
静香が、おずおずと顔を上げる。
「……本の話が合ったのは、その、当たり前、ですよね……。でも、だからユキくんのことを嫌いになれるかって言われたら……なれない、です」
黒縁メガネの奥の瞳が、まっすぐにユキを見ていた。
凛が、一歩、歩み寄る。
「……お前が落ち着いてる理由がわかった。大人だから当然だ。それで、何が変わるっていうんだ」
凛は、ユキの正面で立ち止まった。
「あたしは、お前のことが——」
凛は言いかけて、口を閉じた。顔を真っ赤に染め上げ、勢いよく顔を背ける。
誰も、ユキを否定しなかった。
ユキは壁にずるずると背中を預けて、その場にしゃがみ込んだ。
「なんで、誰も引かないんだよ……」
声が、涙で震えた。泣き笑いの、情けない顔を、四人の女子が上から覗き込んでいる。
「引く理由が、どこにありますの?」
美桜が、しゃがみ込むユキの目線に合わせて、膝を折った。
「おもろいじゃん。むしろ、すげー加点でしょ」
陽菜が、ユキの頭をポンと叩く。
「……私は、ユキくんのことが……好きです」
静香が、初めてはっきりと、好意を言葉にした。
凛は、黙ったままユキの隣にしゃがみ込み、ぷいっと横を向いた。でも、その手は、そっとユキの袖の端を掴んでいる。
「俺、どうしたらいいんだ……」
ユキは、四人に囲まれたまま、小さく笑った。
海からの風が、屋上を吹き抜けていく。
誰かの髪が、ユキの頬をくすぐった。
——隠し事ゼロで、初めて向き合った朝の、やわらかな光の記憶。Noveliaとは?
Noveliaは、AIでライトノベルや二次創作を「読んで・数タップで作って・キャラクターと会話できる」プラットフォームです。挿絵つきの新作が毎日届き、無料で始められます。