絶体絶命ルビー・クールの逆襲<帝都大乱編>
十九世紀末の欧州。
クリスマスの二週間ほど前の土曜日、極悪テロ組織「無産者革命党」が、帝都平民区で一斉蜂起した。いわゆる「帝都大乱」の勃発である。警察機能は停止し、街は無法地帯と化した。
赤毛の美少女ルビー・クールは、平民区の孤児院で慈善活動をしていたときに、無産者革命党に襲撃される。孤児院の子どもたちを人質に取られたルビー・クールは、絞首刑台広場に連行される。広場を埋め尽くしているのは、無産者革命党の党員や支持者の男たち1万人以上。
ルビー・クールは、首に絞首刑用ロープをかけられ、処刑直前の状況だ。
無産者革命党の司令官は、ルビー・クールと共に、孤児院の子どもたちも処刑することを宣言した。
孤立無援で絶体絶命の窮地の中、孤児院の子どもたちを救うため、死刑台の上から今、ルビー・クールの逆襲が始まる。
絶体絶命ルビー・クールの逆襲<帝都大乱編> - 第八章 特殊部隊突入で絶体絶命<第一話>
<第八章 第一話>
「くそっ。あんな化け物のような魔女、どうすればいいんだ」
大男のフランクが、そう吐き捨てた。レジカウンターの裏で身をかがめ、拳銃に弾丸を込めながら。
「良い作戦を思いついたわ」
ルビー・クールが、小声でささやいた。
ダリアとフランクに顔を寄せ、小声で作戦を伝えた。
フランクが、死亡した部下の拳銃も手に取った。
ルビー・クールも、左足首のホルスターから、銀色の三十二口径リボルバーを、もう一挺、取り出した。
二人とも、左右の手に拳銃を手にした。拳銃は合計で、四挺だ。
四挺の拳銃で、逃げ道をふさぐように同時に発砲する。それが、作戦だ。
配置についた。ダリアの左側はフランクで、右側がルビー・クールだ。
フランクの右手の拳銃は、ローズの頭部を狙う。左手の拳銃は、ローズから見て右へ一歩の位置に発砲する。
ルビー・クールの左手の拳銃はローズの腹部を狙う。右手の拳銃は、ローズから見て左へ一歩の位置に発砲する。
これで、逃げ場はない。左右どちらにも、逃げられない。姿勢を低くして避(よ)けようとすれば、腹部を狙ったルビー・クールの銃弾にあたってしまう。回避するには、床に伏(ふ)せるしかない。
だが、一瞬で床に伏せるのは、難しい。たとえ一瞬で床に伏せたとしても、そのあと、二発目の銃撃を回避するのは、困難だ。
この作戦で、仕留められるはずだ。
ダリアが、魔法詠唱を始めた。魔法の氷の板が、空中に出現した。ダリアが、レジカウンターから、顔を出した。魔法の氷の板で、自分の頭部を守りながら。
投げナイフが、突き刺さった。魔法の氷の板に。魔法はすべて、まぼろしだ。よって、魔法の氷の板に突き刺さるナイフは、魔法による幻覚だ。
共和国の女工作員ローズは、魔法の幻覚に本物を混ぜることは、しないようだ。自分の魔法に、絶対的な自信があるからだろう。
ルビー・クールが、カウントダウンをささやいた。
「三、二、一、ゼロ」
その直後、フランクとルビー・クールは、顔と両手の拳銃を、レジカウンターの上に出した。
四挺の拳銃を、同時に発砲した。
「なんて女だ!」
フランクが叫んだ。
ローズは、回避した。四発の銃弾を。
ローズから見て右へ一歩移動するのと同時に、右足を軸に百八十度回転した。背を向けながら。上半身を前に倒し、歩幅を大きく広げながら。
フランクの左手の拳銃が放った銃弾は、ローズの右足、いや、正確には右膝、半メートルほど上を通過した。
ローズは上半身を倒したまま、今度は左足を軸に百八十度回転し、右へさらに一歩移動した。
目があった。ローズと。
ニタリと、微笑んだ。ローズが。コートの左袖に、右手を入れた。小型ナイフを取り出した。
魔法のナイフではない。本物のナイフだ。
ルビー・クールが叫んだ。
「本物のナイフが来るわよ!」
その瞬間だった。
ローズが絶叫した。
右足の甲に、突き立てられていた。細身のナイフが。
刺したのは、エルザだ。女殺し屋ジャッカルの娘。
エルザは、ローズの魔法の炎に包まれ、床に倒れた。それ以降、ピクリとも動かなかった。
だが、死んではいなかった。気を失っただけだった。魔法の炎が消えたあと、意識が戻った。
しかし、すぐには動かなかった。死んだふりをして、好機を待っていたのだ。
フランクが発砲した。もはや、移動による銃弾回避ができないローズに向かって。
だが、またしても、あたらなかった。
一瞬のうちにローズは腰を落とし、床に尻をついたからだ。そのため銃弾は、ローズの頭上を通過した。
フランクがさらに発砲した。尻もちをついているローズの頭部を狙って。
また、はずれた。ローズが身体を左側にねじって、床に伏せたからだ。
次の瞬間、エルザがローズに襲いかかった。右手に持った細身のナイフで。
エルザがローズに、のしかかった。
二人とも、右手にナイフを持っている。相手の右手首を、自分の左手でつかんでいる。
だが、エルザのほうが優勢だ。馬乗りになり、上から体重をかけているからだ。
エルザのナイフが、ローズの顔に近づいた。
奇声を発した。エルザが。
「あなたの美しい顔を、醜く切り刻んであげるわ!」
ローズが、言い返した。
「それは無理ね」Noveliaとは?
Noveliaは、AIでライトノベルや二次創作を「読んで・数タップで作って・キャラクターと会話できる」プラットフォームです。挿絵つきの新作が毎日届き、無料で始められます。