異世界娼館で生きる
異世界娼館で生きる
サキは日本の平凡な学生だったが、気がつくと異世界の奇妙な森の中で目を覚ました。状況を理解する間もなく、盗賊に襲われ、集団で犯された。泣き叫び、意識を失った。再び目を開けると、奴隷商人のガロンが彼女を見つけ、「また商品が手に入った」と笑っていた。首には奴隷の刻印が焼き付けられ、逃げ道はなかった。
移送中、ガロンは何日もサキを飢えさせた。パン屋の前で空腹に耐えかね、パンを乞うと、店主は「金か、体か」と言った。飢えが羞恥心を押しつぶした。店の裏で、一斤のパンのために彼に口で奉仕した。自らの意思で堕ちたのは、それが初めてだった。
続いてガロンの「調教期間」が始まった。荷馬車や宿屋で、彼はサキの体を使い、この世界の性的技巧と魔法の媚薬を教え込んだ。「これで高く売れる」と言いながら、何度も彼女を犯した。抵抗する意思は消え失せた。
町では、荒くれの冒険者たちが市場でサキに目をつけた。ガロンは止めもせず、彼らはサキを路地に引きずり込み、集団で犯した。その後、ガロンはただ「この世界では普通のことだ」と言った。
サキは高級娼館「月光亭」に売られた。先輩の娼婦カミラは冷たかった
異世界娼館で生きる - 灰の中の笑顔
灰が、舞っている。
空はまだ灰色で、煙が立ちこめる廃墟の中——サキは膝をついていた。肩に、髪に、灰が積もる。払わない。払う理由が、ない。
遠くから足音。何人も。瓦礫を踏みしめ、近づいてくる。
「[surprised]おい、生きてるぞ」
声がした。兵士たちが集まってくる。サキを取り囲む。
サキは顔を向けた。
笑み。
顔の筋肉が、教え込まれた通りに動く。目尻を少し下げて、口角を上げる。自然な微笑み。それ以外の顔の作り方を、もう忘れてしまった。
「[laughing]よかった、お前が生きてて」
「[gentle]助かったよ」
安堵の声。その意味を、サキの身体はもう知っている。助かった——つまり、また使える。道具として。
サキは立ち上がった。
膝の泥を払う。その仕草も自然に出る。考えるより先に、身体が動く。
兵士たちを見回す。五人。六人。もっといる。
「[gentle]あたしで、癒してください」
甘い声。喉の奥を震わせるように作った声。もう何百回も繰り返した言葉が、口から滑り出る。
兵士の一人が息を呑む。
他の兵士たちが、少しだけどぎまぎする。でも——すぐに目が変わる。求めていたものを、差し出されたのだと理解する目。
サキは先頭の兵士の前に膝をついた。
手を伸ばす。軍服の留め具に指をかける。外す。もう見なくてもできる。
(今日が、何日目か)
頭の隅で数字を数えようとする。
(八十七……)
指が止まる。
数える意味が、わからない。
もう、わからない。
ただ、止まった。
——。
崩れた石壁の影。焼け焦げたテントの残骸が散らばる中で、サキは兵士たちを一人ずつ相手にしていく。
腰を使う。甘い息を漏らす。学んだ通りの声を出す。
「[gentle]あっ……」
喘ぎ。それも技術の一つ。
身体は淀みなく動く。でも——頭の中は、静かだ。
怒りも、悲しみも、悔しさもない。
ただ、空っぽ。
兵士の一人がサキの顔を見下ろした。
動きが止まる。
目を覗き込んでいる。
兵士の表情が、ぞっとしたものに変わる。
笑っているのに——目が笑っていない。
いや。目が、何も感じていない。怖いわけでも、悲しいわけでも、怒っているわけでもない。ただ、そこに何もない。
兵士は目を逸らした。気にしないことにする。
行為を続ける。
サキの口元の笑みは、その間もずっとそのままだった。
——。
最後の兵士が離れた。
若い兵士が一人、サキの前にしゃがみ込んだ。顔を覗き込む。
「[scared]おい……大丈夫か?」
サキは彼を見た。微笑む。
若い兵士が——後退した。
「[scared]な……」
言葉が出ない。笑顔なのに、目が何も映していない。ただ、そこに何もない。
言いかけた口が、閉じる。
立ち上がる。仲間のもとへ歩き去る。その背中を、サキは笑顔で見送った。
——。
一人になった。
サキは廃墟の壁に背を預ける。冷たい石の感触が、背中に広がった。
ダガン。
その名前を思い出そうとする。鉤爪の義手。自分を犯し、売り飛ばした野盗の頭。
何も出てこない。
マダム・ヴェスパ。
月下の館。黒いドレス。自分を軍に売った女。
霞がかかっている。顔は浮かぶ。でも、感情がない。
カミラ。
赤い髪。無愛想だったけど、薬をくれた先輩。
(……誰だっけ)
心の中で呟いた言葉が、そのまま消える。
かつて自分の中にあったものを呼び起こそうとして——何も出てこない。
探す気力も、なかった。
——。
空が、夜明けの色に変わり始める。
兵士たちは焚き火のそばに集まっていた。火の粉が舞い上がり、灰と混ざって消える。
サキは一人、壁際で膝を抱えている。
手のひらを見下ろす。
指を折って数えようとする。
一本。二本。三本——止まる。
(あたしの名前は)
サキ。口の中で呟く。
それが自分のものかどうか。確かめようとして——確かめ方がわからない。
怖くない。悲しくない。立ち上がって逃げなければという気持ちも、どこかに行けるという気持ちも、どこにも見当たらない。
ただ——笑顔だけが、顔に残っている。
灰が肩に積もる。払わない。
遠くで兵士が仲間を呼ぶ声がした。
「[excited]おい、救援の馬車が来るぞ!」
サキはその方向に顔を向けた。
反射的に、口角が上がる。
次に何が来ても——この笑顔で迎えることを、身体が既に決めていた。
灰が、舞っている。
サキは笑顔のまま、膝を抱えて座っている。自分がどこにいるかも、次に何をすべきかも——もう、わからない。
ただ、笑顔だけが残っていた。
遠くから、馬車の車輪の音が近づいてくる。
サキの目は、何も映していなかった。